1年ぶりの米中首脳会談開催、ジェトロの米中月例レポート(2023年11月)

(米国、中国)

調査部米州課

2024年01月05日

ジェトロは1月4日、米国の対中国関連政策についてまとめた2023年11月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米中関係に関する米国の動向を把握できるよう、2021年7月から毎月分を作成して特集ページに連載している。

11月の米中関係の最大の出来事は、米国のジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席が、約1年ぶりとなる米中首脳会談を行ったことだ(2023年11月16日記事参照)。米国が議長国としてサンフランシスコで開催したAPEC首脳会談に合わせ、習国家主席が訪米したことで、バイデン政権が発足してから2回目となる対面での米中首脳会談が開催された。

米中関係は、2023年2月に中国の気球が米国領空に侵入し、それを米国が撃墜したことによって緊張が高まっていたが(2023年2月6日記事参照)、その後のアントニー・ブリンケン国務長官(2023年6月21日記事参照)、ジャネット・イエレン財務長官(2023年7月10日記事参照)、ジーナ・レモンド商務長官(2023年8月30日記事参照)の訪中、王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)の訪米など(2023年10月30日記事参照)、閣僚級の会談などを通じて、緊張緩和と首脳会談の実現に向けた調整が進められてきた。

11月の米中首脳会談では共同声明は発表されていないが、会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、両国軍のハイレベルの直接連絡体制・会合の復活、フェンタニルのような違法薬物に関する2国間協力の復活およびワーキンググループの設立、先進人工知能(AI)に関する米中政府間協議の開催、気候変動対策への協力など、両国に共通した関心分野での連携を確認した。加えて、オープンなコミュニケーションラインを維持することの重要性を確認し、ハイレベルな外交を継続することで合意したとしている。このうち、両軍トップによる対話再開は、チャールズ・ブラウン統合参謀本部議長と中国軍の劉振立統合参謀部参謀長が12月21日にビデオ会議形式で会談を行ったことで実現している。

また、米中首脳会談当日には、米中ビジネス評議会(USCBC)と米中関係全国委員会(NCUSCR)が習国家主席を主賓として招き、晩餐(ばんさん)会などが開催された。実現には、アジア・ソサエティや外交問題評議会(CFR)、米国商工会議所、在米中国商工委員会などの米国内の有力民間組織の協力があったとされている。

そのほか11月には、レモンド商務長官と王文涛商務部長の会談や、ジョン・ケリー気候変動問題大統領特使と解振華・気候変化事務特使の会談、イエレン財務長官と何立峰・副首相の会談、藍仏安・財相との初会談など、APEC首脳会議に合わせて訪米した中国高官との会談も多く見られた。

米国の対中政策・措置や米国側から見た米中関係の動向について、行政府、連邦議会、産業界、学会に分けて解説する月例レポートは、こちらの特集ページからさかのぼって閲覧が可能。米中関係に関する中国の動向も確認できる。

(谷本皓哉)

(米国、中国)

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