EU、2023年の風力発電設備新設は過去最大も、業界団体は一層の取り組み求める

(EU)

ブリュッセル発

2024年01月16日

欧州風力協会(ウインド・ヨーロッパ)は1月12日、EUの2023年の風力発電の新規設備容量は17ギガワット(GW)と前年(16GW)をわずかに上回り、過去最大となったと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。このうち、陸上(オンショア)は14GW、洋上(オフショア)は3GWだった。

新設容量について、国別ではドイツ、オランダ、スウェーデンの順に多かった。洋上風力については、オランダが最大で過半を占めた。同国では、2023年9月に世界最大の洋上風力発電施設「ホランセ・クスト・ザイド」(発電容量1.5GW)が稼働となるなど、大型事業が複数進められている(2023年4月17日付地域・分析レポート参照)。

ウインド・ヨーロッパによると、風力発電はEUの2023年の発電電力量の約19%を占めた。水力(約13%)、太陽光(約8%)、バイオマス(約3%)と合計すると、再生可能エネルギー(再エネ)が占める割合は約44%に上った。また、新規の風力発電所の設備使用率(Capacity Factor、注1)は陸上が30~48%、洋上は50%と引き続き上昇傾向にある。

しかし、改正再エネ指令(2023年9月20日記事参照)で定めた2030年の最終エネルギー消費に占める再エネ比率42.5%の目標達成には、風力分野では同年までに毎年約30GWの新設が必要と指摘。整備加速に向け、欧州委員会が2023年10月に発表した欧州風力発電行動計画(2023年10月26日記事参照)の確実な実施を訴え、特に加盟国の取り組み強化がカギとなるとした。加盟国のうち26カ国のエネルギー担当相は12月、同行動計画で定めた許認可の迅速化や入札制度の改善のほか、風力発電のサプライチェーンへの投資拡大などへの迅速な取り組みを誓約する「欧州風力憲章外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注2)に署名しており、各国政府に対し有言実行を求めた。

(注1)発電設備の総供給設備容量に対する発電電力量の比で、設備がどのくらい有効に使われているかを示す指標。

(注2)ハンガリーを除く26カ国のエネルギー担当相と、欧州委および風力発電部門の300社以上の代表が2023年12月19日に署名した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(滝澤祥子)

(EU)

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