紅海情勢により日本産食品の海上運賃が3~5倍に上昇

(英国、日本)

ロンドン発

2024年01月09日

紅海・スエズ運河の航路停止に伴い、日本などアジア地域から英国に食品を輸送する海上運賃の上昇が進んでいる。12月下旬から1月上旬にかけて在英の日系食品ディストリビューター複数社にジェトロがヒアリングしたところ、海上運賃は通常の3〜5倍に上がっており、今後も上昇が予想されるという。2021〜2022年には新型コロナウイルス禍で海上運賃が通常の10倍以上まで上がっており、その再来を懸念する声が多く聞かれた。

12月半ば以降、イエメンの武装組織フーシ派による船舶への攻撃増加を受けて、主要な海運企業は紅海を通るスエズ運河の航路を回避し、南アフリカ共和国の喜望峰回りに航路変更している(2023年12月25日記事参照)。食品ディストリビューターによると、航路変更によって輸送日数が追加で2~3週間かかると言われているとのことだ。当面は在庫でしのぐことも可能だが、食品ディストリビューターの多くは少量多品目を扱っているため、商品によっては欠品が出てくる可能性もある。新規顧客の注文を抑制している事業者もあった。

現時点ではコンテナ確保が困難な状況には至っていないものの、輸送日数の長期化が続けば、コンテナ需給が逼迫するおそれもある。早期のコンテナ確保をしようとすると、さらに倍近い海上運賃を提示されているとの指摘や、早期にコンテナを確保するため日本側から注文確定の前倒しを求められているとの声も聞かれた。

紅海情勢の物流への影響については、英国の複数の業界団体も声明を発表している(2023年12月22日記事2024年1月9日記事参照)。

(林伸光)

(英国、日本)

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