イエメンの武装組織フーシ派の商船攻撃で、紅海上の海運が混乱

(イエメン、世界、イスラエル、パレスチナ)

ドバイ発

2023年12月25日

各種報道によると、イエメンの武装組織フーシ派が11月14日に「紅海などでイスラエルの船舶を標的にする」と宣言して以降、紅海周辺で小型無人機(ドローン)による船舶への攻撃を繰り返していることを受けて、海運大手ドイツのハパックロイド、スイスのMSC、デンマークのマースク、フランスのCMA CGM、台湾のエバーグリーン、英国石油大手BPなどが紅海を通る経路を回避し、南アフリカ共和国の喜望峰回りなどへのルート変更を発表している。各海運企業が航路の変更や輸送費の調整に追われ、紅海上に停泊するコンテナ船も増えており、遅延や混乱は世界貿易に大きな影響を与える可能性がある。

こうした状況を受け、ロイド・オースティン米国防長官は紅海での海運の安全確保に向けた多国間の取り組みを発表(2023年12月19日記事参照)。英国、バーレーン、カナダ、フランス、イタリア、オランダ、ノルウェー、セーシェル、スペインなどが参加し、紅海南部とインド洋のアデン湾で共同パトロールを行う。

大手フォワーダーのキューネ・アンド・ナーゲル(本社:スイス)のドバイ中近東アフリカ統括オフィスのリー・イオン統括はジェトロの取材に対して「世界で運航している約30%の船が紅海を経由しており、これが喜望峰経由となることで、世界全体の約20%の積載能力が奪われると想定している」とコメントした。

紅海周辺の輸送の不確実性が増している中、実際にコンテナ価格にどの程度反映されるかは不明なものの、ルート変更による輸送コストの上昇や海上保険料の上昇などが懸念されている。

(清水美香)

(イエメン、世界、イスラエル、パレスチナ)

ビジネス短信 8730c181e6a6aa35