米NY州最高裁、フードデリバリーサービス会社の配達員への最低賃金規則を容認

(米国)

ニューヨーク発

2023年12月06日

米国ニューヨーク(NY)州のNY州最高裁判所は11月30日、大手フードデリバリーサービス会社のウーバー、ドアダッシュ、グラブハブのアプリを通して同市でサービスを提供する配達員に対する最低賃金の適用を認める判決を下した。フードデリバリーサービス会社に対するこのような判決は、米国初となる。これにより、前述の3社は配達員に対して最低時給17.96ドル、2025年4月の完全実施時以降には19.96ドルの支払いおよびインフレに合わせて毎年調整することが義務付けられた。

エリック・アダムス市長(民主党)とビルダ・ベラ・マユガ同市消費者・労働者保護局(DCWP)局長は2023年6月11日、フードデリバリーサービス会社と契約してサービスを提供する配達員に対し、最低賃金を設定するとしていたが(2023年6月13日記事参照)、サービス会社(注)がNY州地裁に規制執行の一時的な差し止めを要請し、州の最高裁判所はこれを認めていた(2023年7月13日記事参照)。

アダムス市長は今回の州最高裁の判断を受けて、「この最低賃金の設定は、配達員とその家族が生計を立てられることを保証し、NY市の歴史あるレストラン産業の好調を維持することになる」とした。

ウーバーの広報担当者は、この決定は「雇用を減少させ、チップの支払いを控えさえ、配達員にはより速く、多くの配達を強いることとなる」とした。ドアダッシュの広報担当者は「誤った最低賃金規則が引き起こし得る有害な結果を最高裁が無視したことは遺憾だ」とした。また、グラブハブの広報担当者は「われわれは裁判官の判断に失望しており、次の手段を検討している」とした。

ウーバーに関してはまた、11月2日に、同社のアプリを使用してライドシェアを提供する運転手に対しても最低時給を設定することでNY州司法省と合意している。これに関しては、NY州内全体が対象となっている(2023年11月6日記事参照)。

(注)対象には当初、ウーバー、ドアダッシュ、グラブハブに加え、リレーも含まれていたが、最低賃金適用の判決にはリレーは含まれていない。

(吉田奈津絵)

(米国)

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