米NY州地裁、フードデリバリーサービス配達員に対する最低賃金規則の施行を一時差し止め

(米国)

ニューヨーク発

2023年07月13日

米国ニューヨーク(NY)州地方裁判所のニコラス・モイン裁判官が7月7日、フードデリバリーサービス配達員の最低賃金を設定するNY市の規則(2023年6月13日記事参照)の施行について一時的な差し止めを認めたと主要メディアが同日報じた。

同規則は、携帯電話などからアプリを通じて注文するフードデリバリーサービスの配達員に対して、7月12日から最低賃金を段階的に導入する予定であったもの。市の配達員の平均時給は現在7.09ドルだが、NY最低賃金(平均時給15ドル)に満たない個人事業主のフードデリバリーサービスの配達員が対象で、飲食店に直接電話をかけて注文する場合の配達員は対象に含まれない。エリック・アダムスNY市長と同市消費者・労働者保護局(DCWP)が6月11日に発表していた。これに対して、フードデリバリーサービスを提供するウーバー、ドアダッシュ、グラブハブ、リレーの4社が7月6日に、それぞれ同州地裁に規則施行の一時的な差し止めを要請していた。こうした状況を受け、モイン裁判官は、NY市と原告企業の弁護士から正式な書類を受領するまで、同規則は施行されないと裁定した。同裁判官は7月31日に再度審理を行う予定だ(ブルームバーグ7月7日)。

ドアダッシュは、NY市が規則を発表した同日(6月11日)に、ウェブサイト上で「このような極端な最低賃金の要求を満たすためには、注文あたりの手数料を引き上げるか、NY市でのサービスを縮小せざるを得なくなる」と反発していた。また、グラブハブは6月12日、事業が新型コロナウイルス禍以前と比較して伸びている一方、運営費と人件費がそれ以上の割合で上昇していることを理由に、全従業員(個人事業主の配達員は含まれない)の15%に当たる400人をレイオフ(解雇)すると発表していた。

(吉田奈津絵)

(米国)

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