米NY市、フードデリバリーサービス配達員の最低賃金を設定、2025年4月には時給19.96ドルに

(米国)

ニューヨーク発

2023年06月13日

米国ニューヨーク(NY)市のエリック・アダムス市長とビルダ・ベラ・マユガ同市消費者・労働者保護局(DCWP)局長は6月11日、フードデリバリーサービスの配達員に対する最低賃金を設定すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、フードデリバリーサービスの配達員に特化した最低賃金の設定は米国で初めて。NY市配達員の平均時給は現在7.09ドルだが、最低賃金は7月12日から時給17.96ドルとなる。最低賃金は段階的に引き上げられ、2025年4月1日には19.96ドルとなる予定だ。

DCWPはパブリックコメント期間中に提出された全てのコメントを綿密に検討し、関連業界や配達員のフィードバックに応じながら、最低賃金を大幅に引き上げたとしている。また、個人事業主の配達員は、諸経費を自己負担するほか、労災保険や有給休暇を利用できず、メディケアや社会保障の負担も増えるという事情も考慮されている。

フードデリバリーサービスのアプリ企業に対しては、配達員が最低賃金を得られるならば、支払いはデリバリー件数、働いた時間、独自の計算式のいずれを採用しても構わないとしている。

「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版(2020年2月26日)によると、フードデリバリーサービスアプリの利用者は飲食店に行って直接注文するよりも多くの費用を支払う必要があり、アプリ企業の利益率はグラブハブで25%、ドアダッシュで63%、ウーバーイーツで91%にもなるとされていた。また、飲食店に最高30%以上の手数料を求めるデリバリーサービスがあるにもかかわらず、配達者の賃金は最低賃金にも満たないことが指摘されていた。

NY市は2021年8月26日、デリバリーサービスのアプリ企業に対して、同市内で運営するためのライセンス申請を義務付け外部サイトへ、新しいウィンドウで開きまするとともに、アプリ企業が飲食店に対して請求する配達料の上限を1注文あたり15%と恒久的に定め、そのほかの手数料も5%を上限としていた。

(吉田奈津絵)

(米国)

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