中銀、2022/2023年度の対内直接投資(FDI)統計を発表

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年12月11日

バングラデシュ中央銀行が12月3日に発表した「対内直接投資(FDI)と対外債務」の統計資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)のFDI(ネット、フロー)は、前年度比5.5%減の32億5,000万ドルとなった(添付資料表参照)。

国・地域別では、オランダからの投資額が前年度比2.7倍と最も高い伸びで、金額では英国に次ぐ4億2,600万ドルとなった。オランダからの投資を産業別にみると、食品(1億4,170万ドル)および石油・ガス(1億217万ドル)が全体の6割弱を占める。前者に関して具体的な案件は確認できていないものの、後者は同国のエネルギー大手SHVエナジーによる、当地の新興企業ペトロマックス(Petromax)LPGの買収がその一因とみられる。他方、電力セクターを中心に伸長していた中国は80.0%減の9,300万ドルで、3年ぶりに1億ドルを割り込んだ。

主力の縫製業においては、英国(1億8,661万ドル)、韓国(1億6,043万ドル)からの投資が下支えし、業種別で最大(20.4%)の投資受入額となる6億6,219万ドル(前年度比4.3%減)となった。また、政府が重点産業に位置付ける通信業は約2倍と、最大の伸びを示した。その背景には、地場の通信大手ロビー(Robi)の属するマレーシアのアシアタ・グループ(Axiata Group)の存在などが想定される。具体的な案件は公開されていないものの、マレーシアからの直接投資は前年度比78.6%増で、国別ではオランダに次ぐ伸び率だった。

日本からの直接投資は前年度比35.8%減の7,900万ドルで、業種別では前年と同様、肥料分野が最大の3,790万ドルとなった。主に三菱重工業と丸紅が設計・調達・建設(EPC)を手掛ける、肥料製造プラントの開発案件(ゴラサール・プロジェクト)が同年度も寄与した。また、建設分野への投資は673万ドルと引き続き堅調で、特に2023年10~11月上旬にかけては、着実に進められた政府開発援助(ODA)による各種インフラ開発の完工や開業に係る式典が相次いで開催された。

なお、FDI統計は今般の会計年度ベースに加え、暦年(1~12月)ベースも公開(2023年9月1日記事参照)されている(注)。

(注)過去の暦年統計は、各年の世界貿易投資動向シリーズで参照できる。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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