ジッダで日本産コメ・水産物普及イベント開催、日本食材人気は高まるも普及に課題

(サウジアラビア、日本)

リヤド発

2023年12月19日

ジェトロは12月6日、サウジアラビアで日本食の試食イベントを、全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会(以下、全米輸)と共催で開催した(2023年12月19日記事参照)。

日本食材の人気度は高まりつつも普及に課題

サウジアラビアでは、日本食材を取り扱う店舗は限定されている。最近は日系加工食品がスーパーマーケットの店頭にも陳列され、日本産和牛(2023年1月24日記事参照)も一部のハイパーマーケットで販売されるようになってきたが、日本食材は全体的に高級品となるため、一般消費者が手にする機会は多くない。

また、サウジアラビア向けの水産品輸出には、サウジアラビア食品医薬品局(SFDA)への施設登録が必要となるため(2022年3月1日記事参照)、輸入されている日本産水産物はサウジアラビアでも人気があるホタテ、マグロ、トビコなど一部の商品にとどまる。日本産米もアジア食材店で一部取り扱っているが、市内のハイパーマーケットは、エジプト産のジャポニカ系中粒種(カルローズ)が主流で、日本産米はほとんど流通していない。

サウジアラビアでは日本の漫画やアニメの人気が高く、日本食材を映像で目にする機会があるため、日本食への認知度は高い。日本食材を取り扱う現地バイヤーに話を聞くと、「商品パッケージは工夫が必要。日本語だけでなく、英語やアラビア語が記載されている方がよい。サウジアラビア人はスパイシーな味付け、甘い物を好む傾向にある。魚臭いものは好まない傾向にある」と述べていた(添付資料表参照)。

寿司(すし)はサウジアラビアでも人気が高く、市内には寿司レストランが多い。ホテルのレストランでもメニューとして多く提供されているが、変わり巻き寿司やフュージョン寿司が一般的。握り寿司を提供する日本食レストランもあるが、サーモンやマグロ、カニカマなど、具材が限定されている。

現地バイヤーからは、「サウジアラビア人は食に対しては保守的。新しいものには手を出しにくい。日本食レストランなどで取り扱うようになれば、その食材・商品に対して興味を持つだろう。そのため、イベントや展示会などを活用しながら、レストラン関係者などへのPRも検討すべきではないか」との意見があった。

サウジアラビアは、ハラール認証のほかに食品衛生基準、関税、輸入手続きなど諸課題が少なくないが、今回のイベントに参加した日本企業からは「輸入規制や認知度向上などクリアすべき課題は多くあるが、マーケットとしての成長性は十分に感じられた」と前向きな意見が寄せられた。

(林憲忠)

(サウジアラビア、日本)

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