サウジアラビア向け水産品輸出には取扱要綱に基づく施設登録が必要

(サウジアラビア、日本)

リヤド発

2022年03月01日

2021年8月1日以降、サウジアラビア向け水産品輸出に衛生証明書の添付が正式に義務付けられている(2021年7月28日記事参照)。衛生証明書の発行には、取扱要綱(農林水産省ウェブサイト)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づく事前の施設認定が必要となっている。

正式な制度整備を受けて、各事業者はあらためて施設登録が必要になる点に、特に注意が必要だ。日本・サウジアラビア間で衛生証明書の枠組みが整備されるまで、約150社(2021年8月時点)の日本国内の水産加工施設が暫定的にサウジアラビア食品医薬品局(SFDA: Saudi Food and Drug Authority)のウェブサイトに掲載されていたが、農林水産省ウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2022年2月末の確認時点で施設登録が完了している事業者は14社にとどまっている。暫定的なリストに掲載されていた各施設の施設登録番号と、今次の施設登録完了企業の登録番号とでは、桁数などにも変更が生じていることから、通関時のトラブルを避けるためにも、速やかな施設登録が求められる。施設登録の申請先は、登録認定機関である日本食品認定機構外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとなっている。

サウジアラビアでは、新型コロナウイルス感染拡大に係る行動規制の緩和に伴い、2021年以降、カフェやレストランの新規オープンが相次いでおり、日本食レストランもその1つとなっている。日本食といえばまだ「寿司(すし)」の固定観念が強い当地だが、サーモン人気を受けて、2020年のノルウェーからの対サウジアラビア向け水産品輸出は、前年比20.9%増の4,970万ドルだった(注1)。寿司ネタとして人気のマグロ類(注2)は、スペインやインドネシアが主な調達先で、スペインの2020年の対サウジアラビア輸出額は10万7,650ドル、インドネシアからは26万8,800ドルとなっている。他方で、日本からの2020年のサウジアラビア向け水産品輸出は全体で81万9,700ドル、そのうちパシフィックサーモンが58万700ドル、とびこなどの魚卵類が16万7,700ドル、マグロは5,700ドルだった。前述のとおり施設登録が必要なことや、新型コロナウイルス感染拡大の影響などもあり、日本からの輸出はやや低迷しているが、各加工施設の再登録を通じて、今後の輸出の増加やサウジアラビアに入る日本水産品の多様化に期待したい。

(注1)輸出額は、いずれもGTA(グローバル・トレード・アトラス)から抽出。

(注2)マグロ類は、ミナミマグロ、キハダマグロ、メバチマグロ、ビンナガマグロ、クロマグロなどを含む。

(柴田美穂)

(サウジアラビア、日本)

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