カナダ中銀、3会合連続で政策金利を5.0%に据え置き

(カナダ)

トロント発

2023年12月07日

カナダ中央銀行は12月6日、政策金利を5.0%に据え置くことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。据え置きは9、10月の発表(2023年9月7日記事2023年10月26日記事参照)に続いて3会合連続。中銀は「金融政策が支出を抑制し、物価上昇圧力を緩和している兆候がさらに鮮明になっているため」と説明した。

声明では、カナダ経済について、2023年第2、3四半期(4~9月)の実質GDP成長率は前期比年率でそれぞれ1.4%、マイナス1.1%(2023年12月1日記事参照)で、金利上昇が消費を抑制して消費成長はゼロに近く、企業投資も過去1年ほぼ横ばいとなるなど、経済成長が停滞したと説明した。雇用創出では、失業率は小幅に上昇したが、賃金は4〜5%上昇しているとし、全体として経済がもはや需要過剰ではないことを示唆しているとした。

消費者物価指数(CPI)上昇率は、10月に前年同月比3.1%まで緩和(2023年11月22日記事参照)したが、住宅価格は、家賃やその他の住宅費の伸び加速や、住宅ローン金利の上昇を受けて、インフレが進んでいるとした。また、コアインフレ指標はここ数カ月3.5~4%で推移しており、10月の指標は下限値に近い数値となったことを明らかにした。

今後の政策金利については、「依然としてインフレ見通しに対するリスクを懸念しており、必要であれば政策金利をさらに引き上げる用意がある」とし、「コアインフレ指標のさらなる持続的な緩和を望んでいる」と言及した。

発表を受けて、CIBCキャピタルマーケッツのマネジングディレクター兼チーフエコノミストのエイバリー・シェンフェルド氏は同日、「当行では、中銀が2024年6月までに緩和を開始するとの見方を堅持する。現在の市場の見方より少し遅いが、その後、市場予想よりも積極的に緩和が行われ、金利は2024年末には3.5%になると予想する。これは、現在より1.5ポイント低いが、それでも前回の景気サイクルピーク時の2倍となるものだ」とコメントした(CIBCエコノミック・フラッシュ12月6日)。

次回の政策金利発表は2024年1月24日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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