10月のカナダ消費者物価指数、前年同月比3.1%上昇

(カナダ)

トロント発

2023年11月22日

カナダ統計局が11月21日に発表した10月の消費者物価指数(CPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは前年同月比で3.1%上昇と、9月の上昇率(3.8%、2023年10月18日記事参照)を0.7ポイント下回った(添付資料表参照)。

品目別に前年同月比では、ガソリン価格が9月の7.5%上昇から10月は7.8%下落に転じた。ベース効果(注1)が一因で、OPECプラス(注2)が減産を発表した2022年10月の価格が同年9月に比べて9.2%上昇したことによる。

食料品価格は引き続き高水準で推移しているが、前年同月比では鈍化傾向が続いており、このうち家庭用食品は9月の5.8%上昇に続いて10月は5.4%上昇と鈍化した。

サービスは9月の3.9%上昇に続いて10月も4.6%上昇し、10月のCPI全体を押し上げた。中でも家賃は10月に8.2%上昇し、9月の7.3%上昇から伸びが加速した。また、各自治体が毎年10月に価格設定する固定資産税やそのほかの特別料金も、自治体運営のコスト上昇を受けて4.9%上昇し、1992年10月以降で最大の上昇幅となった。さらに、旅行は9月の2.2%下落から10月は11.3%上昇に転じた。

発表を受けて同日、カナダ銀行大手トロント・ドミニオン銀行の調査部門TDエコノミクスのマネジングディレクターのレスリー・プレストン氏は「10月のCPIが再び低下したことは心強いが、インフレ率が目標の2%に戻るとカナダ中央銀行が確信するには、コアインフレのさらなる緩和を確認する必要がありそうだ。カナダ経済がここ数カ月で冷え込んでいるのは間違いないが、それに続くはずのインフレ率の冷え込みはなかなか現れない。経済の需要減退で物価上昇圧力は最終的には弱まると予想されるが、労働市場の逼迫を考えると、それには時間がかかるだろう」とコメントした(TDエコノミクス11月21日)。

中銀の次回政策金利の発表は12月6日に予定されている。

(注1)時系列データを用いて前期比、前年同期比といった変化率の推移を算出する際に、算出する基準となる時点が変化したことが要因で変化率の推移に影響を及ぼすこと。

(注2)サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などOPEC加盟国と、ロシア、メキシコなど非加盟の産油国で構成される。

(飯田洋子)

(カナダ)

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