カナダ中銀、政策金利を5.0%に据え置き

(カナダ)

トロント発

2023年09月07日

カナダ中央銀行(中銀)は9月6日、政策金利を5.0%に据え置くと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2022年3月から10回にわたって行われてきた利上げに、いったん終止符が打たれた。

中銀はカナダ経済について、「物価(上昇)圧力を和らげるために必要な、より弱い成長の時期に入った」とし、消費の伸びが著しく鈍化し、住宅投資が低下したことに加え、カナダ国内で山火事が多発した影響から、2023年第2四半期の経済成長は前期比年率マイナス0.2%(2023年9月4日記事参照)に転じたと説明した。

また、消費者物価指数(CPI)上昇率(前年同月比)について、6月に2.8%まで緩和(2023年7月19日記事参照)したが、7月は3.3%まで上昇(2023年8月16日記事参照)して、中銀の予想に近い平均3%近くの水準で推移しており、物価上昇圧力が依然広範に及んでいるとした。今後は、ガソリン価格の上昇に伴って短期的には上昇し、その後再び緩和すると予想したが、コアインフレ率の前年比と3カ月平均はともに3.5%前後で推移しており、基調的なインフレには最近の下降の勢いがほとんどみられないと説明した。

今後の政策金利について、中銀は「依然として基調的なインフレの持続を懸念しており、必要であればさらに引き上げる用意がある」と言及した。

発表を受けて同日、TD銀行のディレクター兼シニアエコノミストのジェームス・オーランド氏は「先週発表されたGDPが第2四半期の縮小を示し、雇用市場についても冷え込みの兆候が強まっていることから、中銀に利上げ継続の圧力はほとんどなかった」として、「中銀は傍観者の立場に戻ったとはいえ、タカ派的なレトリックをやめるわけではない。景気が減速を続けるためには、金融環境が引き締まったままであることを確認する必要があり、市場はまだ(利上げを)『やるか』派と『やらないか』派で割れており、再利上げの可能性は50%前後とみられている。景気減速が続きそうなことから、再利上げのハードルは上がっていると思われる」とコメントした(TDエコノミクス9月6日)。

次回の政策金利発表は10月25日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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