エチオピアが債務不履行、債権者グループと協議も合意に至らず

(エチオピア)

調査部中東アフリカ課

2023年12月27日

各種報道によると、エチオピアは12月25日、2024年12月31日に償還を迎える10億ドルの国債について、3,300万ドルの利払いを履行せず、債務不履行(デフォルト)に陥ったとしている。アフリカでは新型コロナ禍以降、ザンビア(2020年11月18日記事参照)とガーナ(2022年12月21日記事参照)がデフォルトに陥っており、エチオピアはそれに続くかたちとなったが、今後はこの2カ国とともにG20の「共通枠組み」に加わり、債務軽減に向けて再交渉することになる。

エチオピア政府は、2023年8月に中国政府と2023/2024会計年度(2023年7月8日~2024年7月7日)の債務返済停止に合意し、2023年11月には公式債権者委員会(OCC)を通じて2国間債務の一時返済停止について合意したと発表していた。しかし、12月8日の年金基金、その他の民間債権者グループとの協議では、表面利率(クーポンレート)の引き下げを求めるも合意に至らず、12月11日に期限を迎える利払いを履行できないとしていた。その後、14日間の支払い猶予期間が設けられていたが、同国のアハメド・シデ財務相は「全ての債権者を同じように扱いたい」と利払いを行わない方針を示し、猶予期間最終日の25日を迎えても利払いの履行がなされなかった。

エチオピア経済は新型コロナ禍に加え、北部ティグライ州での紛争とそれによる外資の撤退や国内生産の減少、アフリカ成長機会法(AGOA)に基づく米国への特恵待遇の停止(2021年11月4日記事参照)、さらには干ばつの影響もあり、大きく疲弊していた。IMFによると、エチオピアの2022年の外貨準備高は輸入額の1カ月分を割り込む0.8カ月分となっている。同国政府は、2023年11月末までに自動車や調製食料品などを含む38品目の輸入を完全に停止するなど(2023年11月24日記事参照)、外貨不足に対する措置を講じてきた。

なお、米国大手格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ・グローバル(S&P)は、エチオピア政府が支払い猶予期間内に利払いしない方針を示した後の12月15日に、同国の外貨建ての債務格付けを「選択的債務不履行(SD)」に格下げしている。

(梶原大夢)

(エチオピア)

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