米国、アフリカ3カ国に対するAGOA特恵待遇を終了と発表

(米国、ギニア、マリ、エチオピア)

ニューヨーク発

2021年11月04日

米国通商代表部(USTR)は11月2日、ギニア、マリ、エチオピアのアフリカ3カ国に対するアフリカ成長機会法(AGOA)に基づく特恵待遇を2022年1月1日に終了させると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

AGOAは、米国がアフリカのサブサハラ諸国の発展に関与すべく2000年に成立させた法律で、条件を満たす国からの輸入に対して無関税の特恵待遇を与えるもの。AGOA対象国と認められる条件としては、市場経済、法の支配、政治的な多元性、適正な法手続きの確立や米国の貿易・投資に対する障壁の撤廃、貧困削減、腐敗撲滅、人権保護に関する政策の実施などが設定されている。

USTRは、特恵待遇を終了させる3カ国のうち、ギニアとマリに関しては憲法に反する政府の転覆を理由に挙げている。エチオピアに関しては、同国北部で拡大する紛争の中で、政府などが国際的に認められた人権を侵害していることを指摘した。これまでにも条件に満たない事態があったことを理由に、AGOA特恵待遇を終了する例はあった。例えば、マリは2012年3月に発生したクーデターを理由に、2013年の1年間において特恵待遇が停止されていたが、2014年1月に復帰している。USTRは今回の措置に関しても、「それぞれの国に対して復帰の道への明確なベンチマークを示し、政権として各国がそれらを達成できるよう協働していく」とし、特恵待遇の終了は永続的なものではない点を明確にしている。

なお、AGOA自体は2025年9月末に失効予定で、延長に向けた議論が米政権・議会で始まりつつある。キャサリン・タイUSTR代表も2021年10月20日にバーチャル形式で開催したAGOA閣僚会議で、「AGOAの未来を考える上で、USTR代表としての私の目標は、米国・アフリカ間で長期にわたり耐久性のある貿易・投資関係に必要な条件を生み出すことを支援することだ」と発言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。下院歳入委員会の貿易小委員長を務めるアール・ブルメナウアー議員(民主、オレゴン州)も10月21日、アフリカ諸国の貿易相とのラウンドテーブル開催に際して「AGOAの成功は貿易と経済開発がつながっていることを示す強力な証しだ。しかし、この法律の下でアフリカ諸国がその機会を最大限活用するよう支援するためにできることはまだある。われわれの貿易・投資関係を深化させる最良の道を特定すべく協力していきたい」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

(磯部真一)

(米国、ギニア、マリ、エチオピア)

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