防衛関連予算は増加傾向を示すも、北部の治安は改善傾向

(モザンビーク)

マプト発

2023年12月05日

モザンビークの政策系NGO「公共誠実性センター(CIP)」は11月15日、調査報告書「カーボデルガードでの戦争の代償」を発表した。モザンビーク北部カーボデルガード州では、2017年10月からイスラム系武装勢力による地元コミュニティーへの襲撃や、国防軍などによる平和構築作戦が進行している。同報告書は、安全保障関連の政府支出(国防、治安維持・警察機構、情報機関に対する支出)の変動トレンドなどを調査・分析している。

報告書によると、武装勢力の活動が本格化した2018年を境に、安全保障関連支出の増加トレンド(注)に変化が見られる。2012年から2017年までの安全保障関連支出は、年度ごとに29億4,000万メティカル(約4,648万ドル、1ドル=63.25メティカル)増加する傾向だった。2018年から2022年までの安全保障支出の増加トレンドは、年度ごとに117億5,000万メティカル(約1億8,577万ドル)となっている。政府歳出は増加傾向にあり、2012年の歳出合計23億ドルから2022年には約3倍の68億ドルに達している。歳出の増加トレンドに占める、安全保障関連支出の増加トレンドの割合をみると、2012年から2017年までは15%(年平均歳出増加額3億1,400万ドル)を占めているのに対し、18年以降は33%(同5億7,000万ドル)を占めることになる。

カーボデルガード州北部における武装勢力による村落への攻撃は、2023年11月16日にも確認される(「クラブ・オブ・モザンビーク」2023年11月20日付記事)など、現在も続いているが、状況は緩やかに改善されつつある。国際移住機関(IOM)の調査によると、国内避難民の発生人数は2022年11月に最大となる103万人を観測して以降、2023年8月には85万人と減少傾向をみせている。

こうした傾向の中、停止中の天然ガス開発プロジェクト(2021年4月30日記事参照)を主導するトタル・エナジーズは、2023年9月に実施した投資家向け説明会で、2028年にはモザンビークエリア1からの液化天然ガス(LNG)生産を開始する考えを示した。カーボデルガード州の人道状況や復興・開発状況については、同社が2023年5月に状況評価とアクションプランを発表している(2023年6月15日記事参照)。

(注)ここでは複数年に及ぶ、ある特定期間における年間の平均増加額をいう。

(松永篤)

(モザンビーク)

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