日インドネシア経済連携協定(JIEPA)改正交渉が大筋合意
(インドネシア、日本)
ジャカルタ発
2023年12月25日
上川陽子外相とインドネシアのズルキフリ・ハサン商業相は12月16日、閣僚共同声明で、日本・インドネシア経済連携協定(JIEPA)改正交渉が大筋合意に達したと発表した(12月16日日本の外務省発表)。また、この閣僚共同声明を日ASEAN特別首脳会議に合わせて開催された日・インドネシア首脳会談で、岸田文雄首相とインドネシアのジョコ・ウィドド大統領が確認した(2023年12月21日記事参照)。
今回の改正交渉により、日本からインドネシアへの市場アクセスについて、新たに自動車や鉄鋼・鉄鋼製品の計19品目の関税が撤廃・引き下げられる。農産品では、米粉の関税が新たに撤廃されるほか、日本産短粒種米の低関税輸入枠(割当数量:8,500トン、枠内税率は1キログラム当たり450ルピア(約4.1円、1ルピア=約0.009円)〕の設定や、サービス貿易の倉庫業・不動産業の市場アクセス改善などが実現する。また、鉄鋼などの特定用途免税制度(USDFS、注1)の改善なども図られる。
インドネシアから日本への市場アクセスについては、新たに114品目の関税が引き下げられる。バナナやパイナップル(重量の少ないもの)の関税割当枠が拡大されるほか、キハダマグロ、カツオ缶、マグロ缶、かつお節(注2)、カツオ・マグロ調製品(注2)、グレープフルーツなどの果汁ジュース、マヨネーズといった品目が新たに関税撤廃の対象に追加される。
ルール分野では、この改正によって電子商取引章が新たに規定される。情報越境移転の制限禁止やコンピュータ関連設備の設置要求の禁止、ソースコード開示要求の禁止などの規定を含む同章により、両国間のデジタル貿易の促進が期待される。
インドネシアのズルキフリ・ハサン商業相は当地経済紙に対して、物品貿易の分野で日本はこれまで認めていなかった品目の市場アクセスを開放・改善し、その中には地域の主要な競合相手と同等の競争力を持つことになる4品目の水産加工品も含まれるとし、「このより良い市場アクセスは、インドネシア企業が日本向けに製品を販売する際に活用され、インドネシアの非石油・ガス分野の輸出を増加させることが期待される」と述べた(12月18日「コンタン」紙)。
JIEPAは2008年7月に発効し、2013年12月に一般見直しの開始に合意した。2015年5月に協定の改正交渉が開始され、今回の大筋合意に至った。両国で今後、協定の法技術的チェック(リーガル・スクラブ)などの作業を経た上で、改正協定に署名することになる。
(注1)USDFSは、自動車・同部品、スチールロール、電気・電子部品、鉱業、採掘、建設用建機などを対象に、15%前後の関税率を0%に低減できる制度。利用に当たっては1年間の輸入計画の提出や工業検査証明書の取得など、厳格な運用管理が求められている。(2023年2月8日記事参照)。
(注2)体長30センチ未満のカツオが原料として含まれないことをインドネシア政府が証明したものに限る。
(大滝泰史)
(インドネシア、日本)
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