商務部、レアアースを輸出報告制度の対象に追加

(中国)

調査部中国北アジア課

2023年11月16日

中国商務部は11月7日、「大口商品の輸出入報告統計調査制度」の印刷発行に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、レアアースを「輸出報告を行うエネルギー資源産品リスト」に追加するとした(注1、注2、文書は11月1日付)。同リストに掲載された産品を輸出する対外貿易経営者は、関連する情報の報告義務を負う。同リストを含む調査制度は、10月31日から2025年10月31日まで2年間実施される。

通知に添付された「大口商品の輸出入報告統計調査制度」の説明によると、同調査は大口産品の輸出入状況や動向をタイムリーかつ正確に把握することにより、科学的に検討・判断を行い、対外貿易経営者が秩序ある貿易を行うよう導くとともに、リスクを回避する目的でなされるものとなっている。また、今回のリストへの追加は、ビッグデータによるモニタリングや予測、アラートなどの業務をさらに改善するため、2022年に決定したことだとも説明している。

同制度の対象品目について、対外貿易経営者は輸出入契約の締結後、貨物の出荷後、仕向け地への到着後、および報告事項に変更が生じた場合、3営業日以内にシステム上で報告を行うことが義務付けられる(注3)。

商務部報道官は11月9日の記者会見で、一部の大口商品について輸出入統計調査報告および情報公開の制度を整備することは国際的に一般的な行いだと述べたほか、2008年に中国が一部の大口農産品に対して輸入報告制度を実施して以降、同制度の運用状況は良好で、企業の貿易プロセスや通関効率もその影響を受けていないと指摘した。また、同報道官は、今回の改定は統計の対象となる商品の範囲を調整するのみで、現行の報告制度に変更を加えるものではなく、関連商品に対する現行の管理措置や企業の貿易プロセス、通関条件にも変更はないと説明した。

中国は、1998年からレアアースの輸出に割当制を導入していたが、2015年に同制度は廃止された(2015年4月30日記事参照)。以降は許可証による管理を行っており(注4)、輸出者はレアアースの輸出にあたって輸出契約などでの輸出許可証の申請が必要となっている(調査レポート「中国のレアアース管理に関する政策の概要と動向(2022年1月時点)PDFファイル(580KB)」参照)。

なお、中国は8月1日からガリウムおよびゲルマニウムの関連品目に対して輸出管理を実施している(2023年10月26日記事参照)ほか、一部の黒鉛品目について12月1日から輸出管理を実施すると発表している(2023年10月26日記事参照)。

(注1)追加されたのは73品目(HSコード10桁ベース)で、レアアースの鉱物や化合物、合金などが含まれている。

(注2)「通知」では、原油、鉄鉱石、銅精鉱、カリ肥料(カリウムを有効成分とする肥料)を「輸入報告を行うエネルギー資源産品リスト」に追加することも示された。

(注3)「大口商品の輸出入報告統計調査制度」に添付された報告用フォーマットによると、具体的な報告事項としては、商品名、通関時に申告したHSコード、貿易相手国・地域、原産国・地域、契約上および実際の出荷数量や出荷・到着日、出荷地や通関した税関検査場などが求められている。なお、同調査に基づく統計資料は、半月に1度、商務部ウェブサイトにおいて公開されるとしている。

(注4)輸出許可証管理の対象品目は毎年リスト形式で発表されており、現行のリストは2023年1月1日から執行されている「輸出許可証管理貨物リスト(2023年)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」となっている。

(小宮昇平)

(中国)

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