オーストラリア首相が7年ぶりに中国訪問、対話再開など合意

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は11月4日から7日にかけて、両国の外交関係樹立50周年を記念して、中国の上海と北京を訪問した。オーストラリアの首相の訪中は2016年以来7年ぶりとなる。上海では、中国国際輸入博覧会に出席した。北京では、習近平国家主席、李強首相、趙楽際全国人民代表大会常務委員長とそれぞれ会談した。

6日に行われた習国家主席との会談では、2国間関係、地域問題や国際問題について意見交換を行った。2014年に両国で合意した「包括的戦略的パートナーシップ」を支えていくことを再確認し、安定した建設的な2国間関係の重要性をあらためて表明した。共同声明において、両首脳は、（1）首脳会談など政府間対話の再開や、（2）中国・オーストラリア自由貿易協定（ChAFTA）合同委員会のオーストラリアでの早期開催、（3）両国の企業経営者が主要トピックを議論し、両国政府に政策提言する豪中CEOラウンドテーブルの開催、（4）気候変動・エネルギーの2国間対話の再開、（5）土壌炭素測定や気候変動対策に資するスマート農業に関する技術協力の開始、（6）両国間の観光客やビジネス入国者に対する新しい数次ビザの導入などについて合意した。また、オーストラリアは両国の都合が良いタイミングで中国首脳をオーストラリアに招待することを中国側に伝え、中国は歓迎の意を示した。

豪中の貿易関係を巡っては、2020年以降、中国がオーストラリアの主要産品に対してアンチダンピング（AD）関税や補助金相殺関税などの追加関税の賦課、検疫強化措置などの輸入制限を実施していたが、2022年以降、段階的に解除してきている（2023年6月9日記事参照）。2023年8月には、中国がオーストラリア産大麦への追加関税を撤廃した（2023年8月7日記事参照）。ワインについても、中国がオーストラリア産ワインに課していた追加関税の見直し実施の決定を受けて、両国は、10月22日にオーストラリアがワイン追加関税に関するWTOへの紛争解決申し立てを一時停止することに合意したと発表している。11月15日には、米国を訪問中のドン・ファレル貿易相が公共放送ABCラジオ・ナショナルのインタビューで、これまでの中国との会談を踏まえて、牛肉やロブスターに関しては「クリスマスまでにこれらの貿易制裁が解除される」と自信を持っていると語った。

（青島春枝）