米中首脳会談の調整進むも、対中政策に産業界と温度差、ジェトロの米中月例レポート(2023年10月)

(米国、中国)

調査部米州課

2023年11月30日

ジェトロは11月30日、米国の対中国関連政策についてまとめた2023年10月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米中関係に関する米国の動向を把握できるよう、2021年7月から毎月分を作成して特集ページに連載している。

10月の米中関係で注目されるのは、11月16~17日に米国サンフランシスコで開催されたAPEC首脳会談の機会を利用した、米中首脳会談実現のための調整が進められたことだ。米国のジョー・バイデン大統領とアントニー・ブリンケン国務長官は、10月26~28日にかけて米国を訪問した中国外交トップの王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)とそれぞれ会談を行った(2023年10月30日記事参照)。王外相と会談したブリンケン国務長官は米中間の幅広い懸案について掘り下げた議論を行い、首脳会談の実現に向けた調整が行われたとされる。

そのほか、米国商務省産業安全保障局(BIS)は10月17日、中国向け半導体関連の輸出管理規則を一部改定する暫定最終規則(IFR)を発表した(2023年10月18日記事参照)。これに対し、米国半導体産業協会(SIA)は「過度に広範で米国単独での輸出管理は、海外の顧客が米国以外を向くことを促し、国家安全保障を強化しないまま米国の半導体エコシステムを損なう」と述べ、過度な規制強化を敬遠した。一方で、連邦議会下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委員会)」は10月31日、イエレン財務長官に対し、より迅速かつ広範囲な対外投資規制を求めており、政権・議会と産業界の間の温度差が浮き彫りになった。

米国の対中政策・措置や米国側から見た米中関係の動向について、行政府、連邦議会、産業界、学会に分けて解説する月例レポートは、こちらの特集ページからさかのぼって閲覧が可能。米中関係に関する中国の動向も確認できる。

(谷本皓哉)

(米国、中国)

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