韓国銀行が経済見通し公表、2023年GDP成長率1.4%に下方修正

(韓国)

中国北アジア課

2023年05月29日

韓国銀行(中央銀行)は5月25日、2023年の実質GDP成長率を1.4%とする経済見通しを発表した(添付資料表参照)。前回2023年2月時点の見通し(1.6%)より0.2ポイント下方修正した。半導体輸出の減少や投資の不振が続いていることを反映した。

主な需要項目別には次のとおり。

  • 民間消費は、家計可処分所得の増加、消費者心理の改善により緩やかに回復する見通し。
  • 設備投資は、ITなどの景気後退、金融費用負担の増加により低迷が続く見通し。
  • 建設投資は、不動産市況の景気鈍化、政府のSOC(注)予算縮小などにより不振が続く見通し。
  • 財貨の輸出は、中国の(新型コロナウイルス感染対策の)都市封鎖やIT景気不振の緩和により下半期は緩やかな回復に向かう見通し。

雇用状況は、新規就業者数が2023年2月時点の予想の前年比13万人増加を大きく上回り、25万人となる見通しだ。保健福祉や宿泊・飲食業などの対面型サービス業の需要が高まっていることが要因。

他方、2023年の消費者物価上昇率は3.5%の予測で、韓国銀行が提示している「中長期的な物価安定のめど」の2%を上回っている。高インフレが持続するとしており、3%台を記録した場合、2011年(4.0%)以降、前年の5.1%に次いで高い数値となる。

経常収支の黒字規模は2022年に240億ドル、2023年に450億ドルとなる見通し。半導体と対中輸出の不振が持続しているが、下半期は輸出が緩やかに回復し、貿易収支は黒字になることが見込まれる。

韓国銀行は「3カ月前と比較すると、物価上昇率は安定している。しかし、景気回復は当初の予想に比べて遅い」と指摘した。

(注)社会間接資本の略称。具体的には、道路、住宅、港湾、空港、鉄道、上下水道、公共的公園、文教施設、社会福祉施設、電気、都市ガス、病院、治山治水施設・海岸保全施設(ダム、堤防)など、生産活動や生活環境の基盤をなす社会的設備・施設を指す。

(益森有祐実)

(韓国)

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