高官の交流継続も首脳会談は行われず、ジェトロの米中月例レポート(2023年9月)

(米国、中国)

調査部米州課

2023年10月31日

ジェトロは10月31日、米国の対中国関連政策についてまとめた2023年9月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米中関係に関する米国の動向を把握できるよう、2021年7月から毎月分を作成して特集ページに連載している。

9月に入っても、5月から続く米中の高官交流が継続して行われた。ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は9月16~17日、中国外交トップの王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)とマルタで会談を行った。米中2国間の主要な課題に加えて、国際的・地域的な安全保障問題や、ロシアによるウクライナに対する戦争、台湾海峡問題などについて協議した。18日には、アントニー・ブリンケン国務長官がニューヨークで行われている国連総会に参加している中国の韓正・国家副主席と会談を行い(2023年9月20日記事参照)、28日にはダニエル・クリテンブリンク国務次官補が中国の孫維東外務次官と首都ワシントンで会談を行った。

なお、高官間では複数の面談が行われたが、米中首脳会談は行われなかった。9月4~7日に開かれたASEAN首脳会議、9~10日に開かれたG20首脳会議、19日から開かれた国連総会一般討論演説など、米中首脳会談を行う潜在的な機会は多かったが、習近平国家主席はその全てに出席しなかった。ただし、サリバン補佐官と王外相との会談では、11月16~17日にサンフランシスコで開催が予定されているAPEC首脳会議に合わせた首脳会談の調整が行われたのではないかとみられている。

その他、注目すべき事項には、9月22日に米財務省が発表した経済と金融に関する2つのワーキンググループの立ち上げがある(2023年9月25日記事参照)。このワーキンググループは、経済・金融政策に関する忌憚(きたん)のない実質的な議論や、マクロ経済・金融情勢に関する情報交換のための継続的で構造化されたチャンネルを提供するものとされている。経済作業部会は米財務省と中国財政部、金融作業部会は米財務省と中国人民銀行がそれぞれ主導し、定期的に次官レベルの会合を開き、ジャネット・イエレン財務長官と何立峰・副首相に報告を行う体制となる。

米国の対中政策・措置や米国側から見た米中関係の動向について、行政府、連邦議会、産業界、学会に分けて解説する月例レポートは、こちらの特集ページからさかのぼって閲覧が可能。米中関係に関する中国の動向も確認できる。

(谷本皓哉)

(米国、中国)

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