世界銀行の物流指標、88位に上昇も輸入日数に課題

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年10月19日

世界銀行は、港湾をはじめとする国際物流に係る各国の相対的な位置付けなどを明らかにするため、世界139カ国を対象とした「物流パフォーマンス指標(Logistics Performance Index:LPI)」調査を実施している外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。最新(2023年版)の同調査において、バングラデシュは88位(2018年の前回調査から12位上昇)となった。

同調査は大きく、(1)世界各国の国際物流事業者へのアンケート調査、(2)世界銀行が有する国際的な物流追跡のデータセットの2つの要素で構成される。(1)は、各国の物流環境がどの程度ビジネスフレンドリーか事業者からのフィードバックを集約し数値化されるもので、LPIの算定根拠となる。一方で(2)は、主にコンテナや郵便などの国際輸送にかかる日数を計るもので、LPIの算定には直接利用されないものの、LPIを補完する指標として公開される。

今回の調査では、新型コロナ禍におけるサプライチェーン混乱の影響により、全体の平均スコアはバングラデシュを含め前回調査から大きな進展はなかったものの、相対的には、LPIを構成する要素の1つである同国の「通関」項目も121位から101位に上昇した。一方で上述の(2)として、今回調査から公開された「輸入手続きにかかる日数」(対象期間:2022年5~10月)について、バングラデシュの同日数の中央値は8.1日、うち港で要する日数が7.7日となり、隣国のインド(5.3日/2.6日)やスリランカ(5.7日/5.7日)、ハブ港として密接なシンガポール(3.0日/3.0日)との比較において劣後している。

同調査では同国の通関に係る課題には言及されていないものの、ジェトロの「海外進出日系企業実態調査 アジア・オセアニア編(2022年度)PDFファイル(2.0MB)」では、バングラデシュの日系企業にとって、「通関など諸手続きの煩雑さ」が最大(回答率73.2%)の課題となっている。通関を中心とする貿易円滑化の側面では、共同研究会合が行われた日本・バングラデシュ経済連携協定(EPA、2023年9月28日記事参照)、また日本・バングラデシュ官民合同経済対話(PPED、2023年4月27日記事参照)が通関を含むビジネス課題の解決に向けたプラットフォームとして、注目される。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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