第2四半期のGDP成長率、前年同期比3.2%、工業部門が不調
(ガーナ)
アクラ発
2023年10月12日
ガーナ統計局(GSS)は9月20日、2023年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率を前年同期比3.2%と発表した。第1四半期(1~3月)からは0.7%増だった。近年の成長率は鈍化の傾向にあるものの、新型コロナウイルス禍の2020年第2、第3四半期(7~9月)を除いて、過去5年間プラス成長を維持している(添付資料図参照)。
部門別では、サービス部門が前年同期比6.3%、このうち情報通信(26.4%)、保健(11.0%)、公共サービス・防衛・社会保障(6.8%)などが成長を牽引した。一方、卸売り・小売り・自動車オートバイ修繕(5.3%減)はマイナス成長で、第1四半期と同様の傾向が見られた(2023年7月3日記事参照)。また、第一次産業は6.0%のプラス成長を記録し、漁業(12.2%)、畜産(6.9%)、農作物・カカオ(6.3%)が好調だった。ガーナ大学付属のシンクタンク、統計社会経済研究所(ISSER)のピーター・クオーテイ氏は、労働人口の多くを占める農業部門は食料安全保障や、インフレ抑止の観点からも、成長を維持することが重要と指摘した。
工業部門は1.9%減となり、建設(11.7%減)、電力(5.1%減)、上下水道・廃棄物処理・メンテナンス(3.3%減)、製造業(0.5%減)がマイナス成長で足を引っ張っている。同氏によると、建設分野でのマイナス成長については、政府が期限内に工事会社への支払いをしていないために、工事会社の財務状況を危惧する銀行が建設関連分野への融資を控えていることが背景にあるという。また、製造業も、ビジネスを行うためのコストが上昇しており、加えて、新しい税金の導入などもあって、マイナス成長につながっていると述べた。
2022年12月の事実上のデフォルト後、経済状況は徐々に回復しつつあるものの、依然として高い水準のインフレ、債務残高の増加、生活コストの上昇など厳しい経済状況は続いている(2023年10月5日記事参照)。中央銀行は金融セクターのデジタル化プログラムの一環として、2022年に中央銀行デジタル通貨「eセディ」を試験的に導入し、2023年10月3日には12週間にわたる「『eセディ』ハッカソン」(注)の開催も発表したが、不安定な経済状況を背景に「eセディ」の正式な導入時期は不透明と説明している。
(注)プログラマーや設計者などソフトウエア開発の関係者が 短期間に集中的に開発作業を行うイベント
(数実奈々)
(ガーナ)
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