「VG20周年行事」でモディ首相「次の20年で自立した先進国」目指す

(インド)

アーメダバード発

2023年10月02日

「バイブラント・グジャラート」(以下、VG)は、2001年のインド・グジャラート(GJ)州西部地震の震災復興を契機に開始され、20039月以来、2年に1GJ州で開催されてきた。今般、大規模投資誘致のためのビジネスサミットとして国際的評価を高めてきたVG20周年記念式典が2023927日、アーメダバード市内で約3,000人規模の聴衆を集めて開催された。同式典には、創始者のナレンドラ・モディ首相をはじめ、ブペンドラ・パテルGJ州首相、州政府高官らが参列し、来賓としてウェルスパンのBK・ゴエンカ会長、アルセロール・ミッタルのラクシュミ・ミッタル会長、ジェトロ・ニューデリー事務所(南西アジア統括)の鈴木隆史所長の3人が、これまでのVGの歩みを振り返り、祝辞を述べた。

写真 「バイブラント・グジャラート」20周年記念式典(GJ州政府提供)

「バイブラント・グジャラート」20周年記念式典(GJ州政府提供)

モディ首相はあいさつで、「VGは単なるGJ州のブランディング目的だけではなく、首相と7,000万人の州民との固い絆の象徴だ」と強調した。また、VGの核となるアイデア、創造性、実行力、そしてGJ州政府の公正で透明性の高い政策主導のガバナンスが投資家からの信頼を獲得し、現在までに135カ国から4万人の参加者・代表団が訪れ2,000社以上が出展している。VGは世界とつながる媒体として、GJ州のみならず、他州やインド全体のさまざまな分野の可能性や機会を効果的に発信する場として活用されてきた。VGは自動車産業、医療機器、食品加工などの急成長に貢献し、GJ州はインド最大の輸出州、インドの成長エンジンとなった、と述べた。さらに、インドは立ち止まらずに世界3位の経済大国を目指し、新たな可能性を生む成長分野に注力すべきだと強調し、国際金融特区であるGIFTシティーの役割の重要性にも触れた(地域・分析レポート2023年7月11日2023年7月20日参照)。最後にモディ首相は、次の20年に目を向け、2047年までにインドが自立した先進国となるため、ロードマップを作成すべきだ、と締めくくった。

ゴエンカ会長は、VGで締結された覚書(MOU)の70%強のGJ州への投資案件がすでに実現したと述べ、震災復興に向けたカッチ工場建設には州政府の支援も厚く、近い将来、カッチ地方はグリーン水素のハブになる、と語った。一方、ミッタル会長は、VGによりGJ州はインドの重要な工業州となり、VGの効果が他州にも波及し、インドが世界的に有望な投資国となったと述べ、モディ首相の先見性をたたえた。

鈴木所長は、日本はモディ首相が掲げる「メーク・イン・インディア」政策の最大の貢献国だと述べ、ジェトロはアーメダバード事務所を設置し、GJ州政府と共にマンダル日本専用工業団地への投資を促進してきた。現在、GJ州には約360の日系企業の拠点があり、今後もジェトロは、半導体、グリーン水素、再生可能エネルギー、スタートアップ(SU)など、インドが目指す先端産業分野の誘致に協力していくとし、2024年1月開催予定のVG(2023年9月12日記事参照)では、先端産業分野に焦点を当てた日本のビジネス代表団を招待することを検討していると述べた。

(古川毅彦)

(インド)

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