タイ資本のスーパーで日本産食品フェア開催、輸出支援プラットフォームを通じて実現

(ベトナム)

ホーチミン発

2023年10月19日

タイ資本の大型スーパーマーケットであるMMメガマーケット・ベトナム(以下、MM、注1)は9月28日、日本産食品フェア「Taste of Japan」をベトナム国内全21店舗で開始した。本フェア期間は10月11日までの14日間で、MMが仕入れた日本産食品のほか、当地の日系企業3社〔エロビ・ベトナム(注2)、ジャパン・ベトナム・ライブストック(以下、JVL、注3)、およびフー&エム(注4)〕が参加し、自社商品を販売した。

本フェア初日の9月28日には、小野益央・駐ホーチミン日本総領事がホーチミン市内の店舗を訪れ、このフェアのために陳列された日本産農水産物や食品、日本酒、焼酎などをMMのブルーノ・ジョセリン社長とともに視察した。

参加した当地の日系企業の商品には、このフェアをきっかけにMMとの商談が成立したものもある。エロビ・ベトナムは脂肪ゼロ・ヨーグルトおよび総合栄養飲料のクリミールの2商品を全21店舗に、JVLは北海道産ユキビーフを4店舗に、フェア終了後も常時、陳列することが決まった。

写真 エロビ・ベトナムの総合栄養飲料(左)とJVLの北海道産ユキビーフ(右)。ともに、定番採用となった(ジェトロ撮影)

エロビ・ベトナムの総合栄養飲料(左)とJVLの北海道産ユキビーフ(右)。ともに、定番採用となった(ジェトロ撮影)

また、MMが独自で陳列した商品のうち、北海道産のホタテ、茨城県のタコ・ナシは、フェア対象商品の陳列棚の中央に位置し、注目を集めた。水産物仕入れ担当のファム・バン・フン氏によると、ホーチミン市内の店舗では東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の海洋放出後も売り上げには影響が全くなく、今後も日本産水産物の取り扱いを増やしていく予定だという(2023年10月5日記事参照)。

写真 茨城県産ナシの試食販売を視察する小野総領事(中央)とジョセリン社長(右)(在ホーチミン日本総領事館提供)

茨城県産ナシの試食販売を視察する小野総領事(中央)とジョセリン社長(右)(在ホーチミン日本総領事館提供)

写真 北海道産冷凍ホタテ貝(左)、生鮮殻付き(中央)、茨城県産タコ(ボイル冷凍)(右)(ジェトロ撮影)

北海道産冷凍ホタテ貝(左)、生鮮殻付き(中央)、茨城県産タコ(ボイル冷凍)(右)(ジェトロ撮影)

ベトナムでは在外公館やジェトロが構成員などとなり、ベトナム輸出支援プラットフォーム(PF)(注5)を2022年8月に立ち上げ、日本産農林水産物・食品の輸出事業者などを支援している。今回のフェアは、在ホーチミン日本総領事館にMMが話を持ち掛けたのをきっかけに、PFの活動の一環として当地日系食品企業と調整して実施に至った。今後もPFでは、当地の日系食品企業の新たな商流構築や日本の輸出事業者の商流開拓の支援を行っていく。

(注1)MMメガマーケットは、タイ資本の大型スーパーマーケット。食品のほか日用品など、日本を含む各国からの輸入品も多く取りそろえている。

(注2)森永乳業が2021年にベトナムの乳製品メーカーのエロビ・ベトナムを完全子会社化し、森永乳業ブランド商品のヨーグルト・栄養補助飲料の現地製造および販売を開始している。

(注3)双日とベトナム乳業メーカーのビナミルクとの合弁会社Japan Vietnam Livestock(JVL)。

(注4)カメイ(宮城県仙台市)が出資するベトナム法人のうちの1社。フー&エムは日本酒とワインの輸入販売会社。

(注5)「輸出支援プラットフォーム」とは、日本政府の輸出拡大実行戦略に基づき、農林水産物・食品の輸出促進体制の強化を図る枠組み。

(ベトナム)

(河西朝子)

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