7月のカナダ消費者物価指数、前年同月比3.3%上昇

(カナダ)

トロント発

2023年08月16日

カナダ統計局が8月15日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは前年同月比で3.3%上昇と、6月の上昇率(2.8%、2023年7月19日記事参照)を0.5ポイント上回った。(添付資料表参照)。

品目別では、エネルギー価格が8.2%下落と、6月(14.6%下落)に比べて下落幅は鈍化した。中でもガソリン価格の下落幅が12.9%と、6月(21.6%下落)に比べて鈍化した。主因はベース効果(注)で、7月の前月比がほぼ横ばい(0.9%上昇)だったのに対し、2022年7月は世界経済の減速が懸念され、前月比で9.2%下落していたことによる。一方、電気料金は夏期の高需要下で変動しやすく、特にアルバータ州では前年同月比で127.8%上昇したことにより、カナダ全体でも同11.7%上昇と6月(5.8%上昇)を上回るペースで上昇した。

住居関連費用は前年同月比で5.1%上昇し、このうち住宅ローン金利コストは30.6%上昇と、過去最高の上昇率となった。加えて、食料品は高止まりが続いているが、前年同月比7.8%上昇と、6月の8.3%上昇に比べると軟化した。このうち家庭用食品は6月の9.1%上昇から、7月は8.5%上昇となった。

発表を受けて同日、CIBCキャピタルマーケッツのディレクター兼シニアエコノミストのキャサリン・ジャッジ氏は「当行は、カナダ中央銀行(中銀)には(利上げを思いとどまる)忍耐が必要と考えているが、9月に0.25ポイントの最終利上げに踏み切る可能性が高いと思われる。しかし、失業率の上昇は今後も続き、それ以降の引き締めを妨げると予想する。また、当行は、中銀(の利上げによる引き締め)は行き過ぎとみているため、CPIの上昇率は早ければ2024年後半に目標の2%を下回ると予想する」とコメントした(CIBCエコノミック・フラッシュ8月15日)。

中銀の次回政策金利の発表は9月6日に予定されている。

(注)時系列データを用いて前期比、前年同期比といった変化率の推移を算出する際に、算出する基準となる時点が変化したことが要因で変化率の推移に影響を及ぼすこと。今回の場合、6月の前年同月比では2022年6月が比較対象となるのに対し、7月の前年同月比では2022年7月が比較対象となっている。2022年7月の前月比に代わって2023年7月の前月比が2023年7月の前年同月比の値に影響を及ぼすことが、2023年6月からの推移に影響を及ぼしている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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