カナダの第2四半期GDP成長率、前期比年率マイナス0.2%、住宅投資減少など受け
(カナダ)
トロント発
2023年09月04日
カナダ統計局が9月1日に発表した2023年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は、第1四半期の前期比年率2.6%から同マイナス0.2%に転じた。カナダ中央銀行は7月発表の金融政策報告書で、第2四半期の成長率を1.5%と予測していたが、大幅に下回るかたちとなった。統計局は減速の要因として、住宅投資の継続的な減少や、在庫投資の縮小、輸出と個人消費支出の鈍化を挙げた。
住宅投資は8.2%減と、金利上昇に伴って5四半期連続の減少となった。在庫投資も前期比で減少し、2021年第4四半期(10~12月)以来最小となった。中でも製造業と卸売業部門で大きな減速を記録した。
貿易では、輸出は、中間金属製品や商業サービスが増加したものの、原油や小麦などの輸出減で相殺されて0.4%増にとどまった一方、輸入は、貴金属や乗用車などが好調で1.9%増を記録したことから、成長を押し下げる要因となった。
個人消費支出は、第1四半期(1~3月)の4.7%増から、第2四半期は0.2%増へと鈍化した。自動車業界のサプライチェーン混乱が緩和していることに伴って、新車のトラックやバン、スポーツ用多目的車(SUV)などが増加した一方、新車の乗用車や家具・調度品、アウトドア・レクリエーション用主要耐久財などが減少したことにより、伸びは緩やかになった。
統計局の発表を受け、モントリオール銀行(BMO)のチーフエコノミスト兼マネジングディレクターのダグラス・ポーター氏は「当行では、カナダが穏やかな景気縮小に見舞われるとの見方を堅持しており、今回の驚くほど軟調な第2四半期(の指標)は、明らかにその可能性を高めている。国内経済が幅広く軟化していることから、中銀がこれまでの継続的な利上げを経て、来週の金利決定で利上げを見送ることはほぼ間違いない」とコメントした(エコノファクツ9月1日)。
次回の中銀の政策金利発表は9月6日に予定されている。
(飯田洋子)
(カナダ)
ビジネス短信 af85086f9b46c8bd