6月のカナダ消費者物価指数、前年同月比2.8%上昇

(カナダ)

調査部米州課

2023年07月19日

カナダ統計局が718日に発表した6の消費者物価指数(CPI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、前年同月比で2.8%上昇と、5月の上昇率(3.4%、2023年6月28日記事参照)を0.6ポイント下回り、20214月以来最小の上げ幅となった(添付資料表参照)。

品目別では、交通機関が前年同月比3.4%低下したことが伸び率を押し下げる要因となった。中でもガソリン価格は、新型コロナウイルスに関連する制限を緩和した中国での需要拡大によって大幅に上昇した前年同月と比べ、21.6%下落した。また、前年同月時点と比べたサプライチェーンや在庫状況の改善から、乗用車価格は前年同月比2.4%上昇と前月(3.2%上昇)から上昇幅が鈍化した。

通信価格の下落も伸びの鈍化に寄与した。携帯電話サービス利用料は前年同月比14.7%減と、5月の8.2%減からさらに減少したほか、インターネット接続サービスの利用料は前年同月比3.2%減と、前月の1.0%上昇から減少へ転じた。カナダ統計局は料金プランの値下げなどに起因するものと分析している。

一方、食料品は3カ月連続で8.3%上昇と、高い水準で推移している。このうち家庭用食品は9.1%上昇と、前月(9.0%上昇)からわずかに上昇し、特に肉類(6.9%上昇)やベーカリー製品(12.9%上昇)、乳製品(7.4%上昇)などが押し上げに寄与した。外食費(6.6%上昇)や住宅ローン金利コスト(30.1%上昇)なども、引き続き高止まりしている。

CPI発表と同日、CIBCキャピタルマーケッツのシニアエコノミスト、アンドリュー・グランサム氏は、今回の発表を受けたカナダ中央銀行(中銀)による政策金利引き上げの可能性について、中銀の目標インフレ帯域に向けた進展をほとんど見せていないことから、中銀が「夏以降に政策金利を引き上げる可能性が現実的なリスクとして残っている」とコメントした(CIBCエコノミック・フラッシュ718日)。

中銀の次回政策金利の発表は96日に予定されている。

(滝本慎一郎)

(カナダ)

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