日本とカナダのバッテリー関連企業などが技術協力で2つの合意

(カナダ、日本)

トロント発

2023年09月27日

日本とカナダのバッテリー分野の民間企業などは9月21日、技術協力に関する2つの合意を発表した。合意文書は、日本とカナダ両国政府による協力覚書(MoC)の締結式の際に(2023年9月22日記事参照)、両国関係閣僚の陪席の下で署名された。

1つは、日本のパナソニックエナジーとカナダの負極材メーカーであるヌーボー・モンド・グラファイト(本社:ケベック州サンミシェルデサン、以下NMG)による、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の北米でのサプライチェーン強靭(きょうじん)化に向けた技術およびビジネス連携強化のための合意PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)だ。両社は、2022年10月に長期供給契約に関する覚書を締結(2022年10月26日記事参照)して材料調達に向けた協業を行っていたが、技術的な進展を受け、さらなる連携強化を決めたという。

もう1つは、トヨタとパナソニックによる車載用角形電池の合弁会社である日本のプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(以下PPES)、カナダの探鉱企業FPXニッケル(本社:ブリティッシュコロンビア州バンクーバー、以下FPX)、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が締結した「ニッケルの電池サプライチェーンに関する覚書」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)だ。環境負荷の低いサステナブルな電池サプライチェーンの構築を目的に、FPXが採掘するニッケルをEV用リチウムイオン電池の正極材として活用すべく、3者が技術情報と専門性を共有し、共同で検討を開始するという。

カナダは昨今、日本との関係を急速に深めている。カナダ政府は、2022年11月発表の「インド太平洋地域戦略」で日本との関係強化を発表(2022年11月29日記事参照)したのち、2023年1月の日加首脳会談では緊密な協力を約束(2023年1月13日記事参照)し、3月には、EVやバッテリー関連のパートナーや投資機会を探る日本企業のカナダへのミッション受け入れを行った。合意文書署名が行われたオタワでは、今回の日加両政府によるMoC締結に加え、蓄電池サプライチェーンに関する官民ラウンドテーブルも開催された。日加政府関係者、蓄電池産業の業界団体である電池サプライチェーン協議会、日本企業7社(パナソニックエナジー、PPES、旭化成、豊田通商アメリカ、カナダ三菱商事、米国三井物産、住友商事)やカナダの蓄電池関連企業が参加した。

(飯田洋子)

(カナダ、日本)

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