トルドー・カナダ首相、岸田首相との会談で自由で開かれたインド太平洋実現へ緊密な協力約束

(カナダ、日本)

トロント発

2023年01月13日

カナダのジャスティン・トルドー首相は1月12日(日本時間13日未明)、同国訪問中の岸田文雄首相とオタワで首脳会談を行った。会談後の記者会見で両首脳は、カナダと日本の戦略的パートナーシップの強さと、自由で開かれたインド太平洋地域への包括的な共通のコミットメント(2022年10月13日記事参照)を再確認するとともに、カナダが最近発表したインド太平洋戦略(2022年11月29日記事参照)、日本の国家安全保障戦略を含め、両国の経済成長、良質な雇用の創出、ルールに基づく国際システムの強化、地域の安全保障の向上のために緊密に協力していくことを明らかにした。

岸田首相は2016年に外相としてカナダを訪れているが、首相としては初訪問となる。

両首脳は、2国間の貿易、投資、イノベーションを強化し、サプライチェーンの強靭(きょうじん)性と経済安全保障を強化し、中間層の良質な雇用と新たなビジネス機会を創出することについて議論した。また、農業および農業食品、エネルギー、重要鉱物、新興技術などの分野の協力拡大、さらに、両国の成長と雇用創出を促進する環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)の高い基準を維持し、それを基礎とするための共通のコミットメントについても議論した。

加えて、2023年早春に、ゼロ・エミッション車やバッテリーに関連するカナダでの新たなパートナーや投資機会を求める日本企業を歓迎するカナダへのミッション受け入れや、カナダのインド太平洋戦略の一環として、10月に日本へ通商ミッションを派遣予定であることも明らかにした。

岸田首相は、日本の新しい国家安全保障戦略の詳細を共有した。両首脳はインド太平洋地域での中国の行動に対する懸念について話し合い、同地域の安全保障のための協調的アプローチの重要性について合意した。加えて、北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルの脅威に対する深い懸念について語り、北朝鮮の核兵器の完全かつ検証可能で不可逆的な解体への支持をあらためて表明するとともに、カナダが「オペレーション・ネオン」を通じて貢献している、国連の対北朝鮮制裁の監視を支援する多国間の取り組みへのコミットメントを再確認した。

さらに、両首脳は、2023年の日本のG7議長国としての優先事項や新たに生じた地球規模の課題に鑑み、ルールに基づく国際システムを維持するためのG7の継続的な協調の重要性について議論し、ロシアのウクライナに対する不当かつ違法な侵略を非難し、ウクライナの主権と領土の一体性を守るために、G7メンバー間の緊密な協力を維持していくことを確認した。両首脳は2023年5月に広島で開催されるG7サミットに向け、今後も緊密に連絡を取り合っていくことでも合意した。

(飯田洋子)

(カナダ、日本)

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