第12次マレーシア計画中間点検、2025年まで5.0~6.0%のGDP成長目指す

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年09月15日

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は9月11日、2021~2025年の国家中期計画の第12次マレーシア計画(12MP、2021年10月12日記事同日別記事参照)の中間点検報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(MTR)を議会に提出した。MTR策定を主導したラフィジ・ラムリ経済相は、イスマイル・サブリ前政権が2021年に発表した12MPを、現政権が打ち出したマダニ経済政策(2023年8月2日記事参照)に対応したかたちでほぼ全面的に刷新したと説明した。

12MPでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響からの回復と経済再生などを柱に、2025年までの実質GDP成長率4.5~5.5%、1人当たり国民総所得(GNI)の5万7,882リンギ(約179万4,342円、1リンギ=約31円)への引き上げなどを目標としていた。MTRによると、前者については2022年までに5.9%、後者は5万2,968リンギなどと、それぞれ進展が見られた(添付資料表参照)。アンワル首相によると、12MPで設定した175の目標のうち31%が達成され、残り59%が途上にあるという。

当初の12MPでは、2025年までに投じる開発予算を4,000億リンギとしていた。MTRでは、国民需要への対応、政権運営の質向上、対象を絞った補助金への充当のため、4,150億リンギに増額する。アンワル首相によると、開発支出額は2021年に643億リンギ、2022年には716億リンギを計上し、2023年から2025年にかけて毎年900億リンギ以上を支出する見通し。

MTRでは今後、「持続可能、繁栄、高所得」をテーマに、2025年まで年率5.0~6.0%の成長を目指す。具体的には、(1)持続可能性の強化、(2)豊かな社会の発展、(3)高所得国化に焦点を当て、17の指針と71の主要戦略・イニシアチブをまとめた。

17の指針について、特に(3)では、目標達成に向けて、高付加価値化、また成長が見込まれる産業、具体的にはデジタルテクノロジー、電気電子、農業、レアアースに注力するとともに、中小企業の強化や高度人材育成を推進する。

レアアース原料の輸出禁止へ、国内産業育成のため

レアアースについては、原料の輸出を禁止する意向も明らかにした。輸出禁止の目的は、資源の搾取と損失を回避し、国家への利益を最大化することだとアンワル首相は説明した。MTRは、レアアース産業が2025年時点で6,550人の雇用を創出し、GDPに95億リンギ貢献すると推計。研究開発と商業化を今後促進し、国内で高付加価値の中下流産業を育成することを目指す。ボーキサイト、スズ、シリカ、カオリンなどの鉱物資源全体についても、現行の「国家鉱業政策2」を改定し、業界の進むべき方向性を確立したい考えだ。輸出禁止措置の具体的な導入時期は明らかにしていない。

(吾郷伊都子、エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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