バイデン米大統領、国連総会で国際機関への投資を呼びかけ

(米国)

ニューヨーク発

2023年09月20日

米国のジョー・バイデン大統領は9月19日、米国ニューヨークで開催されている第78回国連総会の一般討論で演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。総会のテーマである「信頼の再構築とグローバルな連帯の活性化」に沿うかたちで、世界銀行やIMFなど国際機関へのさらなる投資を参加国首脳に呼びかけた。

バイデン大統領は冒頭で、1週間前にベトナムを訪問し両国の外交関係をベトナムにとって外交上最高位となる「包括的戦略パートナーシップ」に格上げしたことに触れ、未来は歴史に縛られるものではないと強調した(2023年9月12日9月19日記事参照)。世界は歴史的な転換点にあるとし、飢餓や気候変動危機、感染症対策、食料安全保障などグローバルな課題に対して各国で連携して対応する必要があるとした。低所得国でもこうした、持続可能な開発目標(SDGs)が達成可能となるには、世界銀行やIMFなどの国際開発金融機関(MDB)が最も効果的な手段だとして、それらに対する資金拠出の拡大や改革を呼びかけた。また、国連安全保障理事会やWTOの改革の必要性にも触れた。「ワシントン・ポスト」紙(電子版9月19日)は、バイデン氏のこれらメッセージには、グローバルサウスを意識して「米国はパートナーである」ことを訴える狙いがあったと論評している。

このほか、個別の課題については、中国との2国間関係、ロシアのウクライナに対する戦争を中心に一定の時間を割いた。中国との関係では、競争関係が衝突に発展しないよう責任あるかたちで管理し、デカップリングではなくデリスキングを志向していくとした。一方で、航行の自由や経済における公正な競争条件といった問題では中国を押し戻していくとした。ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対しては、2022年の国連総会演説に続き厳しい言葉で糾弾した(2022年9月22日記事参照)。また、ウクライナへの支援は同国の未来だけでなく、全ての国への投資になると呼びかけた。バイデン大統領は米国連邦議会に対して、2024年度(2023年10月1日~2024年9月30日)予算でウクライナ支援のために240億ドルの予算を要求しているが、下院共和党の一部からの反発を受けて成立が不透明となっている。国連総会にはロシアによる侵攻以来では初めて、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が対面参加し、各国首脳にウクライナへの支持を呼びかけた。ゼレンスキー大統領は総会出席の後、首都ワシントンを訪問し、米国連邦議員とも会談を予定しており、予算審議に影響を与えられるか注目される。

(磯部真一)

(米国)

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