中国、住宅ローンの頭金比率と金利を引き下げ

(中国)

北京発

2023年09月07日

中国人民銀行(中央銀行)、国家金融監督管理総局は8月31日、「差別化された住宅貸付政策の調整・最適化に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。住宅購入にあたっての頭金比率の下限を、全国一律で1軒目の場合は20%、2軒目の場合は30%とする。従来の規定でも同水準が下限となっていたが、住宅購入規制(注1)のある都市には適用されていなかった。

また、2軒目の住宅ローン金利の下限をローンプライムレート(以下、LPR)(注2)に20ベーシスポイント(0.2%)(注3)を上乗せしたものとする。2軒目の金利はこれまで、LPRに60ベーシスポイントを上乗せしたものが下限となっていた。住宅ローン金利は、期間5年以上のLPRを基準として決定される。現在の期間5年以上のLPRの金利は4.20%(2023年6月20日記事参照)。1軒目の住宅ローン金利の下限は2022年5月に引き下げられ、LPRから最大で20ベーシスポイント引き下げたものとなっている(2022年5月25日記事参照)。

通知の詳細は次のとおり。

  1. ローンを組み、居住用普通住宅(注4)を購入する世帯について、頭金比率を全国一律で1軒目は20%、2軒目は30%を下回らないようにする。
  2. 住宅ローン金利について、1軒目は現行のままとし、2軒目は対応する期間のLPRに20ベーシスポイントを上乗せしたものを下限とする
  3. 中国人民銀行、国家金融監督管理総局の出先機関は、「都市ごとに政策を定める」という原則により、各地の省レベルの市場金利決定自律メカニズムを指導し、管轄区内の各都市の不動産市場の変化と各都市の政府のコントロールの必要に基づき、自主的に管轄区内の各都市の1軒目および2軒目の住宅ローンの最低頭金比率および金利下限を定める。
  4. 銀行は、各地の省レベルの市場金利決定自律メカニズムにより決定した最低頭金比率および金利下限に基づき、自身の経営状況、顧客のリスク状況などを踏まえ、具体的な頭金比率および金利水準を合理的に決定する。

9月1日付の「21世紀経済報道」は、多くの都市で1軒目の頭金比率はすでに20%になっているものの、2軒目については40%以上である場合が多く、引き下げの余地が残されているとした。

(注1)都市によっては、住宅購入にあたり条件が課される場合がある。北京市であれば、北京戸籍を持たない場合、北京市での連続5年以上の社会保険料もしくは個人所得税の納付などが必要とされる。

(注2)LPRは最優遇貸出金利の指標とされており、期間1年と期間5年以上の2種類が公表されている(2021年12月21日記事参照)。

(注3)1ベーシスポイントは0.01%。

(注4)面積、容積率、取引価格などにより普通住宅と非普通住宅に分類されており、購入・売却時の税金の額などが異なる。北京市であれば、普通住宅は小区(住宅エリア)の容積率が100%以上、物件の建築面積が140平方メートル以下で、該当物件の取引価格が規定以下といった条件が定められている。

(河野円洋)

(中国)

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