スマートフォン経由での未成年者のインターネット利用時間を制限へ

(中国)

武漢発

2023年08月15日

中国の国家インターネット情報弁公室は8月2日、「モバイルネットワーク未成年モード実装ガイド(意見募集稿)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、意見募集稿)を発表し、9月2日までの期間で意見募集を開始した。意見募集稿では、未成年者のインターネット依存を防ぎ、成長に良好なインターネット使用習慣をつけるなどの目的のため、スマートフォン、アプリなどが満たすべき基本的な要件などが示されている。

スマートフォンについては、未成年者が1日の使用時間制限(8歳未満は40分、8歳以上16歳未満は1時間、16歳以上18歳未満は2時間)を超えた場合、アプリを原則終了させる必要があることや、未成年者が30分以上連続してスマートフォンを使用する場合は休憩を促す通知をすること、未成年者に対する午後10時~午前6時のサービス提供を禁止することなどが盛り込まれた。

また、アプリについては、社会主義核心的価値観、先進的な社会主義文化、革命文化、優れた伝統的な中国文化の普及および中華民族の共同体意識の醸成、未成年者の家族や祖国に対する感情や善良な道徳の育成などを盛り込んだ未成年者向けコンテンツの提供や、未成年者ユーザーの依存症を誘発したり身体的・精神的健康に悪影響を与えたりするサービスの提供禁止が盛り込まれている。

強まる未成年者向けの制限

中国は近年、インターネットやゲームなどの分野で、未成年者への制限を強化している。

国家新聞出版署は2021年8月30日、「未成年者のオンラインゲーム依存を防止するための管理強化に関する通知」を発表、同年9月1日以降、全てのオンラインゲーム会社による未成年者へのサービス提供時間について、金・土・日曜日と法定休日の午後8~9時の1時間に限定した(2021年9月13日記事参照)。

国家広播電視総局と共産党中央宣伝部出版局が2022年4月15日に発表した「動画サイトでのゲームライブ配信の管理強化に関する通知」でも、ゲームライブ配信を行うプラットフォームに、実名制の導入や未成年者による課金の禁止などを通じて、未成年者保護のメカニズムを確立するよう求めている(2022年4月19日記事参照)。

また、中央精神文明建設指導委員会弁公室など4部門は2022年5月7日、「オンラインライブ配信ギフティング(注)機能の規制と未成年者の保護の強化に関する意見」を発表、未成年者によるライブ配信でのギフティングを禁止することを動画配信プラットフォームに求めた(2022年5月19日記事参照)。

(注)インターネット上で配信者に対して金銭などを送る行為。金銭を送ることで配信者を応援したり、配信者とコミュニケーションを取ったりすることができる。いわゆる「投げ銭」や「スパチャ」はギフティングの一種。

(楢橋広基)

(中国)

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