ゲームライブ配信に厳格な規制を実施へ

中国の国家広播電視総局と共産党中央宣伝部出版局は4月15日、「動画サイトでのゲームライブ配信の管理強化に関する通知」を発表した。「通知」では、ネットライブ配信の無秩序化や青少年のゲーム依存が社会の注目を集めていることを受け、強力な措置を通じて厳格に規範化する必要があるとし、北京市、上海市、広東省、湖北省の広播電視、新聞出版部門に対し、ゲームライブ配信と配信プラットフォームについて、以下のような措置の実施を求めた。

1. 配信プラットフォームで許可を得ていないゲームライブ配信を禁止する。
2. ゲームライブ配信を行う場合、配信プラットフォーム運営者は配信内容を把握した上で配信管理を厳格に行わなければならない。
3. ゲームライブ配信者は文明的で健全なネット動画環境を維持しなければならず、配信プラットフォームはそれを指導しなくてはならい。
4. 配信プラットフォームは出演者の政治的立場やコンプライアンス、公序良俗性などを厳格に確認しなければならない。これらに問題がある者は断固として出演してはならない。
5. 配信プラットフォームは、実名制の導入や未成年者による課金の禁止などを通じて、未成年者保護のメカニズムを確立し実行しなければならない。
6. ゲームライブ配信番組のリリース、放送、レイアウト設定などについては、広播電視関連の行政管理部門に報告する必要がある。国外のゲームライブ配信についても、関連部門の承認を得なければならない。

また「通知」では各省の関連部門に対し、管轄地域内の主要な配信プラットフォーム運営者やゲーム関連企業への監督などを通じ、通知内の要件を効果的に実施するよう求めている。

ゲームライブ配信市場、今後減速する可能性も

中国では、ゲーム市場の拡大（2021年12月28日記事参照）とともに、ゲームライブ配信市場も拡大傾向にあった。ニューエコノミーと産業デジタル化の研究などを行う中国の艾瑞コンサルティング（iResearch）が2021年8月に発表した「2021年中国ゲームライブ配信業界研究報告書」によると、2020年のゲームライブ配信の市場規模は前年比33.1％増の343億元（約6,860億円、1元＝約20円）、ユーザー数は18.3％増の3億5,500万人だった。配信に強みを持つプラットフォームも存在しており、2021年以降もこの市場は拡大すると予測していた。

しかし、今回の「通知」によってゲームライブ配信のルールが制定されたことで、同市場の成長が減速する可能性がある。

（楢橋広基）