インド中銀、3会合連続で政策金利を6.5%に据え置き

(インド)

ムンバイ発

2023年08月14日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は8月10日、金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利(レポレート)を6.50%に据え置くことを委員6人全員の賛成で決定した。また、これまでどおり、経済成長を支えながらインフレ率を目標値に近づけられるよう、金融緩和からの脱却に焦点を当てていくことで合意した。政策金利は、新型コロナウイルス感染が沈静化した2022年度(2022年4月~2023年3月)に6回にわたって引き上げた後、2023年4月から3会合連続の据え置きとなった(添付資料図参照)。

RBIのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、消費者物価指数(CPI)についてはRBIがインフレ率の中期目標値を4%±2%と設定しているところ、2023年5月と6月はそれぞれ4.3%、4.8%となり、いずれも目標範囲内だった。2023年度の今後のインフレ率に関しては、第2四半期(7~9月)は6.2%、第3四半期(10~12月)は5.7%、第4四半期(2024年1~3月)は5.2%と予測し、2023年度通年の予測は前回の5.1%(2023年6月29日記事参照)から5.4%に引き上げた。この要因として、現在インドで続いているトマトなどの野菜価格の高騰が、短期的なインフレ率に影響を与えることを挙げた。

またRBIは、実質GDP成長率を2023年度第1四半期は8.0%、第2四半期は6.5%、第3四半期は6.0%、第4四半期は5.7%、通年度で6.5%(前回会合と同じ)と予測している。この要因として、カリフ(雨季)作物の播種(はしゅ)面積が前年より増加しているため農村部の所得の回復が見込まれること、サービス業が活況であること、消費者および企業が経済の先行きに楽観的であることなどを挙げている。

世界経済が減速し外需が低迷する中、内需に支えられたインド経済は底堅さを維持している。今後の展望として、安定したインフレ率を維持するためには、インフレ率に大きな影響を与える悪天候による農作物の供給不足に注視し、物価水準に影響を及ぼさないよう適切な体制を整えることが重要となるとした。今回、政策金利は据え置きを決定したが、状況に応じて政策対応を実施する用意があるともしている。

(丸山春花)

(インド)

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