インド中銀、2会合連続で政策金利を据え置き

(インド)

ムンバイ発

2023年06月29日

インド準備銀行(RBI、中央銀行)は6月8日、金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利(レポレート)を6.50%に据え置くことを委員6人全員の賛成で決定した。前々回2023年2月会合で金利を6.50%に決定した後、4月、6月の会合で連続して据え置いた。

RBIのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、世界経済は、インフレ率の緩やかな上昇や金融引き締め、一部銀行機関の危機、ウクライナ情勢の長期化などの影響にもかかわらず、2023年度第1四半期(2023年4~6月)は成長を維持したことを評価した。一方、国内経済については、5月末に国家統計局(NSO)が発表した2022年度(2022年4月~2023年3月)実質国内総生産(GDP)成長率は公共投資と輸出増に支えられて7.2%と、2月発表の7.0%を0.2ポイント上回ったことを指摘。国内航空旅客数、有料道路通行料徴収額、鉄道や港湾の貨物輸送量などの増加、4月に2桁成長を記録した乗用車販売台数などに見られるように、消費は引き続き堅調で、鉄鋼消費量やセメント生産量も健全に増加していることなどから、底堅い成長を評価している。

消費者物価指数(CPI)は、穀物や卵などの食料インフレが緩和、食用油のデフレは深まり、燃料類では、液化石油ガス(LPG)などのインフレが低下、灯油価格はデフレに転じるなど、CPIインフレ率は、2月の6.4%から4月には4.7%と大幅に減少した。モンスーン(季節風)の雨量が平年並みと仮定した場合、2023年度CPIインフレ率は、第1四半期(4~6月)は4.6%、第2四半期(7~9月)は5.2%、第3四半期(10~12月)は5.4%、第4四半期(2024年1~3月)は5.2%、通年度で5.1%と、RBIが許容する4%±2%の範囲内で緩やかに上昇すると予測している。

実質GDP成長率は、世界的に弱い外需、地理的経済的分断や緊張の長期化が成長見通しのリスクとする一方、国内はラビ期(10月から翌年4月の乾季)の農作物の増産、モンスーンの平年並み雨量、サービス業の持続的な活況などが民間消費と経済活動全体を支えるととともに、公共設備投資の促進、一次産品価格の緩やかな物価上昇などにより、2023年度第1四半期は8.0%(前回会合より0.2ポイント増)、第2四半期は6.5%(同0.3ポイント増)、第3四半期は6.0%(同0.1ポイント減)、第4四半期は5.7%(同0.2ポイント減)、通年度で6.5%(前回会合と同じ)と予測している。

(松永宗徳)

(インド)

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