2023年通年のGDP成長率予測値を4.0~5.0%に修正
(香港)
香港発
2023年08月16日
香港特別行政区(以下、香港)政府統計処は8月11日、2023年通年の実質GDP成長率の予測値を4.0~5.0%に修正すると発表した。香港政府は、2023年2月および5月時点では通年の予測値を3.5~5.5%と予測しており(2023年3月1日記事参照、2023年5月17日記事参照)、今回の予測で振れ幅を狭めた。
香港政府統計処は同日、2023年第2四半期(4~6月)の主要経済指標の改定値を併せて公表。第2四半期の実質GDP成長率の確定値を前年同期比で1.5%とした。8月1日に公表した速報値(1.5%増)から修正はないが、第1四半期(1~3月)の成長率2.9%(確定値)から減速した。
香港政府の経済顧問である梁永勝氏は2023年第2四半期の香港経済について、「インバウンド観光と個人消費に牽引され、香港経済は回復を続けた。サービス輸出は著しい成長を続けたが、外需が低迷したため、本土、米国、EU向けの輸出が大幅に減少した。また、金融環境が逼迫する中、固定資本形成は(第1四半期の増加から)緩やかな減少に戻った」と振り返った。また、梁氏は今後の見通しについて、「インバウンド観光と個人消費が経済成長の主な原動力となるだろう。しかし、世界的な経済環境の厳しさが香港の財輸出に引き続き重くのしかかるだろう」と指摘した。
フランスに本拠を置くナティクシス・コーポレート&インベストメント・バンキングのアジア太平洋担当シニア・エコノミストの呉卓殷氏は「2022年の業績が非常に低迷したことを踏まえると、2023年の成長をパンデミック回復後の堅調な回復の兆しとみなすべきではない」と指摘した(「サウスチャイナ・モーニングポスト」8月12日)。
(松浦広子)
(香港)
ビジネス短信 355cf1caac3fbcba