米ジョージア・パワー、ボーグル原発3号機が稼働、4号機も運転開始を目指す
(米国)
アトランタ発
2023年08月01日
米国の電力会社であるジョージア・パワーは7月31日、ボーグル原子力発電所の3号機が商業運転を開始し、ジョージア州内で電力を供給することを発表した。
ボーグル原子力発電所では、1号機が1987年から、2号機が1989年から商業運転を行っている。米国では30年以上、原子力発電所が新設されてこなかったが、ここに3号機が加わることとなる。ジョージア・パワーによると、ボーグル3号機は、推定50万戸の家庭や企業に電力を供給できる。
同原子力発電所では4号機の建設も計画されており、ジョージア・パワーは2023年7月28日、4号機について、原子力委員会(NRC)から103(g)認定を受けたと発表している。103(g)認定は、新しい発電設備が複合ライセンス(注)およびNRCの規制に準拠して建設され、運転されることを示すもので、認定後は燃料装填(そうてん)や試験運転が可能となる。4号機の運転開始時期は、2023年第4四半期後半から2024年第1四半期を予定しており、今後、燃料装荷の最終準備を行い、その後、数カ月間にわたる起動試験と試験運転が行われる予定だ。同社によると、4基全てが稼動すれば、同原子力発電所は米国で最大のクリーンエネルギーの発電所となる見込みだ。
ボーグル3号機と4号機は稼働が当初の予定より7年遅れ、建設費用も当初の想定より170億ドル超過した(AP通信5月25日)。これらの建設費用は電気料金に上乗せされるが、電気料金値上げの具体的な金額についてはジョージア州公共サービス委員会の妥当性を審査するための公聴会において決定される予定で、今後の動向が注目されている(「アトランタ・ジャーナル・コンスティチューション」紙電子版7月31日)。
米国では、現在93基の原子炉が稼働し、米国の電力供給全体の18.2%を占めているが、2013年以降で13基の原子炉が廃炉となるなど(2022年11月22日記事参照)、原子炉数は減少してきた。一方で、ウクライナ情勢でエネルギー供給が逼迫する中、原子力発電による電力供給を維持し、エネルギーの安定供給を図るため、2022年から老朽化した原子力発電所の運営支援のための資金援助プログラムを提供している(2022年4月27日記事参照)。
(注)NRCが発行するライセンスで、ライセンシーが特定の場所に原子力発電所などの原子力施設を建設し、特定の条件付きで運転を許可するもの。
(檀野浩規)
(米国)
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