米エネルギー省、老朽原発支援プログラムを開始、総額60億ドル

(米国)

ニューヨーク発

2022年04月27日

米国エネルギー省は4月19日、老朽化した原子力発電所の運営支援のための資金援助プログラムの募集開始を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。現在、米国では55カ所において93基の原子炉が稼働し、米国の電力供給全体の19%を占めているが、2012年以降で12基の原子炉が廃炉となっている。ウクライナ情勢でエネルギー供給が逼迫する中、原発による電力供給を維持し、エネルギーの安定供給を図る。

支援プログラムの対象は、経営不振により稼働停止が予想される原子炉の所有者または運営者。超党派インフラ法で手当てされた総額60億ドルの予算を元に、対象者には最長2031年9月30日まで資金が供与される。支援を希望する者は2022年5月19日までに必要書類を提出する必要がある(詳しい募集要綱は該当HP外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。

エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官は今回のプログラムについて声明で、「米国の原発は、二酸化炭素を排出しない電力の半分以上を占めている」「バイデン大統領はクリーンエネルギーの目標を達成するために原発を維持する」と述べ、バイデン政権が目標に掲げる、2030年温室効果ガス50~52%削減(2005年比)、2050年カーボンネットゼロに原発は必要不可欠、との認識を示した。

エネルギー省によれば、現状でも原発の半数が経済的要因により閉鎖のリスクを抱えているとしており、これを避けるためには経済的支援が急務とする。加えて、ウクライナ情勢の緊迫化などによるエネルギー供給逼迫によって、原発による電力供給に注目が集まってきている。実際に、イリノイ州は原発2基を閉鎖する計画を中止し、ジョージア州も新たな原子炉2基を建設中で、2023年からの稼動を目指し作業を進めている。世界的にも、原発発電量が多いフランスでは2050年までに原子炉14基を新設することを決めているほか、英国でも2050年までに原発を最大7基新設する可能性があると担当閣僚が述べている(ロイター4月2日)。安全性の観点と価格競争力の点から、米国では閉鎖が相次いできた原発だが、エネルギー安定供給と脱炭素の両立が求められる中、ここにきて原発の見直しが進んでいる。

(宮野慶太)

(米国)

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