米エネルギー省、加州ディアブロキャニオン原発に11億ドルを助成

(米国)

ニューヨーク発

2022年11月22日

米国エネルギー省(DOE)は11月21日、インフラ投資雇用法に盛り込まれている総額60億ドルの老朽原発支援プログラム(2022年4月27日記事参照)から、カリフォルニア州のディアブロキャニオン原子力発電所に最大11億ドルを助成することを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同プログラムからの助成は、これが初めてとなる。

ディアブロキャニオン原発は、カリフォルニア州内で唯一稼働している原発だ(ユーティリティダイブ11月1日)。同原発の1号機と2号機は、それぞれ2024年と2025年に廃炉となる予定だった。最終的な助成金額は原発側との交渉によって決定されるものの、DOEは「同原発が長期的に稼働し続ける道が開けた」としている。カリフォルニア州議会では、同原発について少なくとも2030年までの稼働を認める法案が2022年9月に可決されており、今回DOEから運営資金を得られる見通しがついたことで、長期的な稼働に向けさらに前進したかたちだ。

原子力発電は米国のクリーン電力供給量のおよそ半分を占める電力源だが、エネルギー市場の変化やそのほか経営的な要因によって、2013年以降で13基の原発が早期に閉鎖される事態となっている。DOEによれば、ディアブロキャニオン原発はカリフォルニア州のクリーン電力供給量の15%を占め、年間約16ギガワット時(GWh)の電力を生成しており、今回の助成による稼働延長で1,500人の雇用が守られるもよう。今回の決定に際し、DOEのジェニファー・グランホルム長官は「原子力は、バイデン大統領の気候変動に関する目標の達成に貢献する」と述べ、2035年までに全ての電力をクリーンエネルギー電源で賄い、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという大統領の目標達成に向け原子力の重要性を強調した。

原子力に関して、日本と米国が2022年10月に小型モジュール式原子炉の導入でガーナとの提携を発表(2022年10月28日記事参照)するなど、国際的にも気候変動対策における役割が再認識されている。災害時への備えを万全にするなど留意点はあるものの、今回の老朽支援プログラムやインフレ削減法において既存の原子力発電所を維持するための投資税額控除が盛り込まれており、今後も原子力を推進する動きは続きそうだ。

(宮野慶太)

(米国)

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