米NYで北米最大規模の食品展示会、ジャパンパビリオンに日本企業35社出展
(米国、日本)
ニューヨーク発
2023年07月04日
北米最大規模の高級食品関連展示会「サマー・ファンシー・フード・ショー2023」が6月25~27日、米国ニューヨーク(NY)市で開催された。同展示会は毎年、情報の発信地であるNYで開催されており、国内外での知名度が高い。今回は2,200を超える企業・団体が出展し、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3年ぶりの開催となった前回(2022年6月22日記事参照)を超える出展者が集まった(前回は1,802の企業・団体が出展)。
ジェトロは会場内に「ジャパンパビリオン」を設置し、日本企業35社が菓子類、茶、調味料類、水産加工品、牛肉、青果物、コメなど多岐にわたる日本産食品を出品した。
ジャパンパビリオンには、輸入商社や卸売業者、小売業者、レストランなど食品産業関係者が訪れた。訪れたバイヤーからは、日本産食材や日本食および米国市場の状況について、次のような声が聞かれた。
- 日本産食材に対して、健康的、安全、おいしい、高品質、画期的というイメージがある。
- 日本産食品の中でも、和牛、ラーメン、クラフトビール、わさび、ゆず、醤油(しょうゆ)・醤油加工品、コメ(米粉を含む)、ラー油、キノコ類に関心がある。
- 米国系の小売店では、アジア系食材コーナーの売り上げの伸びが大きく、特に菓子、乾麺、ドリンク類が伸びている。また、米国では近年、抹茶、ラーメン、ゆず、出汁、おにぎりなどが流行している。
- 米国市場向けのサイズやパッケージを工夫したほうがよい。また、バイヤーとしては、その商品の米国市場における需要がどの程度あるのかを知りたい。
- 高価になりがちな日本産商品には、産地や企業の歴史、生産者の取り組みなどと絡めたストーリー性や各種認証取得などの付加価値が求められるだろう。
- 人々が娯楽や社交イベントに戻ってきていることから、2023年はスナック類やノンアルコールのカクテルなどがトレンドと言われている。
- 米国市場では、大豆アレルギーなどへの対応から、大豆をエンドウ豆などに置き換えた製品が増えている。飲料については、環境への配慮から、ペットボトルではなく缶が使用されることが増えている。
ジャパンパビリオンの出展者からは、「大きな手応えを得た」との声が聞かれた。販促手法に工夫を凝らすなど各社の意欲の高さがみられた。出展者からは次のような声が上がった。
- 日系の小売店やレストラン向けの販売のみでは、輸出量の伸びに限界がある。米系小売店に入り込むのは容易ではないが、今回の展示会での経験も踏まえ、長期的に取り組んでいきたい。
- 米国系小売店に入り込むためには、パッケージや商品成分の変更(注)、プライベートブランド(PB)化など相手の要望に柔軟に合わせる姿勢が必要だ。
- 現地に来て、ネットワークをつくり、地道に実績をつくっていくことが重要だと感じた。
- ブース来訪者にその場でSNSアカウントをフォローしてもらい、広報活動を継続できるよう工夫している。
今回の展示会が、ジャパンパビリオンの出展者にとって、米国で日本産食材や日本食の販売を拡大するきっかけになることが期待される。
(注)加工食品の米国販売に際しては、食品表示や食品添加物に関する規制などに留意する必要がある(ジェトロ、貿易・投資相談Q&A参照)。
(北出輝雄)
(米国、日本)
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