グジャラート州政府、サナンドII電力供給安定化への対策は進行中と説明

(インド、日本)

アーメダバード発

2023年07月10日

4月後半から不安定な電力供給が続いているインド・グジャラート(GJ)州のサナンドII工業団地では、サナンド工業組合の代表やジェトロから、GJ州産業開発公社(GIDC)、GJ州送電会社(GETCO)、北部GJ州配電公社(UGVCL)に対して改善要望を行っている(2023年6月26日記事参照)。7月4日にはGETCO、UGVCLのトップや技術者が呼びかけ、サナンドII工業団地とマンダル日本専用工業団地から日系企業11社、サナンド工業組合代表、ジェトロが参加し、意見交換会が開催された。

日系企業からは、頻繁な電圧変動と「短時間停電」(瞬停)が起こっており、原材料の損失、生産設備や工具の破損、操業停止時の労働力の損失などが起こり始めていることや、事前連絡がないことが多くて停電直前では対策が取れないとの声が出された。サナンド工業組合の代表やジェトロ側は、定期的な配電ケーブル点検の必要性や、将来的な需要拡大に備えて変電所や配電インフラの増強が急務だと強調し、停電の事前予告用連絡網の構築を要請した。

GETCO、UGVCL両機関は、既に対策は進んでいてサナンドII工業団地では3つの変電所の建設工事と地下ケーブル敷設工事が3カ月以内に完了する予定や、稼動後は同工業団地へは最大150メガワット(MW、現状は60MW)の電力を無停電で供給できると説明した。一方、マンダル日本専用工業団地への電力供給は比較的安定しているが、現状の2系統の送電線に加え、2023年12月末完成をめどに25キロメートルの送電線を建設中だとし、同工業団地を含むマンダル-ベチャラジ特別投資地域(MBSIR)をカバーする変電所と接続すれば、電力障害は発生しなくなるとも説明した。両機関は7月6、7日の両日、両工業団地に調査チームを派遣し、関連施設の検証を行って必要な対策を取ることや、対策の進捗を確認するための月例合同会議を開催し、議事録を関係者に共有することなどを確認した。

サナンドII工業団地では、米国半導体マイクロンの進出(2023年6月26日記事参照)や、P&Gの新工場設立(2023年7月5日記事参照)などの大型案件の発表が相次いでおり、中長期的な電力需要の増大が見込まれる。電力安定供給州をアピールしているGJ州政府として、今回の意見交換会の開催を通じ、現場の声を反映した中長期的な対応を行う姿勢を明らかにしているものと考えられる。

(古川毅彦、サンチット・オザ)

(インド、日本)

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