サナンド工業組合が電力逼迫問題でインド内相に嘆願書

(インド)

アーメダバード発

2023年06月26日

インド西部グジャラート(GJ)州アーメダバード近郊に位置する「サナンドII」は、日系企業や多国籍企業の多くが進出する州内屈指の主要工業団地だが、4月後半から不安定な電力供給が依然として続いている。これを受け、サナンド工業組合のアジット・シャー代表は614日、GJ州を政治基盤とする、インド中央政府のアミット・シャー内相宛てに親書を送り、中央政府の介入を求めた。地元メディアに対しシャー代表は、サナンドIIでは550社が操業、うち46社は多国籍企業だとした。今後、さらに企業の新規参入が進むと見込まれ、電力需要は現在の60メガワット(MW)から100MWになる。これに対応することが喫緊の課題だと述べた(「タイムズ・オブ・インディア」紙614日)。

同組合をはじめ、日系企業各社も早期改善に向けた働きかけを行っている(2023428日記事参照)。ジェトロも日系企業の現状を取りまとめ、州工業省、GJ州送電会社(GETCO)、北部GJ州配電公社(UGVCL)に対して改善要望を出したところ(620日)、州政府から関係各部署に対し、事実関係を確認し早急な対応を行うよう指示が出されたもようだ。

ジェトロがサナンドII進出日系企業数社に取材(65日、16日)したところ、夏場を迎えて瞬間停電はほぼ毎日発生しており、数時間単位の停電や、計画停電も増えている状況だという。また、「停電中の製品は廃棄する決まりなのでコストがかさむ」「数時間程度の発電機稼働により操業コストが増えた」「電圧の変動が原因と思われる設備トラブルがあった」「停電による材料の変質が懸念される」「予告通知のある計画停電であれば、事前対応策が講じられる」といった声が聞かれた。

送電設備の整備を行うGETCOによると、過去数カ月にわたり電力需要が現行の供給能力60MWの上限に達しており、サナンドIIへの送電ラインに過負荷が生じている。問題解決のため地下配電ケーブルの増設や変電所の新設に取り組んでおり、完成までは計画停電が避けられない状況だが、問題を重視し、最優先事項として工事を進めているという(ジェトロ取材 616日)。

(古川毅彦)

(インド)

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