P&GがGJ州サナンドに工場新設、世界的製造輸出拠点の役割

(インド)

アーメダバード発

2023年07月05日

プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)インディアは6月29日、グジャラート(GJ)州アーメダバード市近郊のサナンドに200億ルピー(約350億円、1ルピーは約1.75円)を投資し、パーソナルヘルスケア製品の製造工場を新設すると発表した。同社は、2015年に設立した既存のサナンド工場を含めインドに8工場を持ち、9カ所目となる今回の工場新設により、同社のインドにおける投資総額は過去10年間で820億ルピーを超えた。

同社のL.V.バイドャナタンCEO(最高経営責任者)は「GJ州での工場新設の決定は、インド市場の潜在性を確信している証しであり、インドをP&Gの世界的な輸出拠点に転換することが目的だ」と説明している。新工場は5万平方メートルの面積を有し、数年以内に稼動する予定。同社が世界市場向けに展開している、ヘルスケア製品などの世界的な製造輸出拠点の役割を担う。新工場は製造工程を完全自動化し、ロボット設備などが備えられる予定だ(「タイムズ・オブ・インディア」6月30日)。

また、バイドャナタンCEOはインド国内市場について、「われわれは、農村部、都市部、大都市圏の3エリアにつき、消費は順調に拡大すると中長期的に楽観視している。しかし、消費者に寄り添いニーズを把握し、需要を喚起することが重要だ」と語った。また、同社は自社のオンラインストアを通じてD2Cの分野に進出しており、政府主導のONDC(Open Network for Digital Commerce)にも参加、注視している分野だと述べている(「ベスト・メディア・インフォ」6月30日)。

サナンドは、GJ州アーメダバード市から西方に陸路で40分程度に位置し、GJ州産業開発公社(GIDC)が開発・運営する複数の工業団地がある。特にサナンドII工業団地には日系企業も多く進出している。一方、コカ・コーラ、ニベア、ネスレなど一般消費財分野の多国籍企業も操業しており、直近では医療試薬分野でシスメックスが進出した(2023年4月24日記事参照)。また、米半導体大手マイクロンの進出(2023年6月26日記事参照)もあり、注目の工業団地だ。州政府は幅広い分野の製造拠点の進出により、多くの直接的・間接的な雇用機会が創出され、地元経済に大きな追い風となることを期待している。

(古川毅彦)

(インド)

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