2021年の温室効果ガス排出インベントリを発表

(香港)

香港発

2023年07月12日

香港特別行政区の環境生態局は7月4日、2021年の温室効果ガス(GHG)排出インベントリ(注)を公表した。

2021年の香港のGHG総排出量は3,470万トン〔二酸化炭素(Co2)換算〕、2020年比で約4%増加した。増加した主な原因として、2021年は新型コロナウイルス感染状況が比較的落ち着きをみせ、域内経済活動と電力需要が回復したことや、3月、5月、9月の記録的な高温の影響で発電量が上昇したことを挙げた。2021年の発電量は2020年比で約4%増加した。

2021年の総人口は2020年比で約1%減少し、1人当たりのGHG排出量は約4.7トンと、前年比で約5%上昇した。

2021年の総排出量は、ピーク時の2014年の同4,420万トンと比較すると、約21.5%の削減となった。2021年の部門別排出量の内訳(総排出量に占める割合)をみると、「発電とその他エネルギー産業」が総排出量の62.7%(2,180万トン)を占めた。次いで「運輸」18.7%(648万トン)、「廃棄物処理」8.4%(291万トン)、「その他燃料消費(商業、工業、住宅での消費含む)」5.2%(180万トン)、「工業プロセスおよび製品使用」4.9%(171万トン)、農業、林業、その他土地利用0.1%(2.9万トン)と続いた。

香港政府は2021年の施政報告で、2035年までに石炭を利用した通常発電を取りやめ、二酸化炭素(CO2)排出量を2005年比50%の削減達成を目指すとしていた(2021年10月11日記事参照)。2022年の施政報告でも、2050年までのカーボンニュートラル達成に向け、建物のエネルギー効率向上などを通じたエネルギー消費の削減や、電気や水素エネルギーを活用した公共交通機関や自動車の普及に向けた計画の推進、2035年までのゼロ廃棄物埋め立て達成などの具体的な取り組みを明示した(2022年11月1日記事参照)。

インベントリの詳細は環境・生態局のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

(注)インベントリとは、世界全体や各国・地域のGHG排出量を把握するために作成され、一定期間内に特定の物質がどの排出源・吸収源からどの程度排出・吸収されたかを示す一覧表を指す。

(松浦広子)

(香港)

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