米国地質研究所が全米規模では初のPFAS汚染状況の推定結果を公表
(米国)
シカゴ発
2023年07月14日
米国地質研究所(USGS)は7月5日、全米のPFAS(有機フッ素化合物の総称)の汚染状況の推定結果を公表した。この推定結果は、USGSが初めて実施した、全米規模での民間の井戸や公共の水道水に含まれるPFASの検査結果に基づいている。
検査は、2016年から2021年の間に716地点の民間の井戸や公共の水道水から採取されたサンプルを用いて行われた。その結果、グレートプレーンズ(大平原)、五大湖、東海岸、中央・南カリフォルニアなどの都市部や潜在的なPFAS発生源の近くで暴露が確認された。この検査結果は、都市部の人々がPFASに暴露される可能性が高いと結論づけた過去の研究と一致しているという。USGSは、水道水中にPFASが確認されない確率は、農村部では約75%、都市部では約25%と推定している。またUSGSは、現在の検査では1万2,000種類にものぼるPFAS全てが検出できるわけではないとしつつも、全米の水道水の少なくとも45%には、PFASが1種類以上含まれていると推定している。今回の検査では32種類のPFASが検出された。USGSは、この検査結果は、一般市民のPFAS暴露リスクや関係する政策などに対する理解に寄与するとしている。
PFASは、耐熱性、耐水性、耐油性、非粘着性などの特性があり、衣料、食品包装、調理器具、化粧品、電子・電気部品、自動車部品をはじめとする多くの産業や製品に利用されてきた。一方で、PFASが環境や人体に与えるマイナスの影響を理由に、PFASに関する規制の導入やメーカーが製造の中止を表明するといった動きがあり(2022年12月22日、2023年3月15日記事参照)、2023年6月22日には、米国素材メーカーの3Mが、全米の公共水道事業者(public water suppliers)に対して13年間にわたって最大で103億ドルを支払うことに合意している。
ジェトロでは、2023年4月と6月に、PFASに関するウェビナーを開催した(2023年5月2日、2023年7月4日記事参照)。
(冨樫達也)
(米国)
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