ジェトロ、PFAS関連規制を解説するオンラインセミナー開催

(米国、日本)

サンフランシスコ発

2023年05月02日

ジェトロは4月26日、SGR法律事務所の小島清顕弁護士と木村勇人弁護士を講師に招き、米国カリフォルニア州に所在する日系企業の関係者などを対象とした「カリフォルニアPFAS関連規制解説セミナー」をオンラインで開催した(注)。230人を超える関係者が参加した。

PFASとは、いわゆる有機フッ素化合物の総称で、耐熱性、耐水性、耐油性、非粘着性などの特性があり、多くの産業や製品に利用されてきた。一方で、自然環境では容易に分解されないことから、環境汚染や生態系、人体への悪影響といったマイナスの特徴があることから、米国の連邦法や各州の州法により使用に関する規制を強化する動きがある。カリフォルニア州では、調理器具(PFAS以外も含む「指定リスト(Designated list)」に掲載された物質の使用開示義務)や食品包装(使用禁止)について、PFASに関連する規制が2023年1月に施行した。繊維製品や化粧品についても、使用禁止となる規制が2025年1月1日から施行予定となっている。

セミナーでは、両講師が米国とカリフォルニア州の規制の概要や、規制対象の具体的な定義や製品、調理器具に使用される場合のウェブサイト、製品自体への情報開示方法、違反した場合のリスク、今後の対策などについて解説した。違反した場合のリスクについて、講師からは、法規制による罰則のみならず、州の司法長官や環境団体などから訴訟提起の可能性があることが具体例を交えながら紹介された。また、代替品の使用や生産停止を進める企業事例が挙げられた一方で、PFASに関する損害は企業賠償責任(CGL)保険の適用外となる可能性が高いとのことだった。

講演後の質疑応答では15件以上の質問が寄せられ、PFAS規制に対する関心度の高さがうかがえた。特に2023年1月に規制が施行となった食品包装に関する質問が多く、具体的な禁止要件や、食品に接しない場合は規制の対象となるかといった質問があった。また、調理器具や食品包装、化粧品以外の品目も今後規制の対象となり得るかといった質問もあり、両講師は自身の見解を示した。

(注)このセミナーはこちらのページからオンデマンド配信中。説明資料もダウンロード可能。また、カリフォルニア州法の「1986年安全飲料水および有害物質施行法(Proposition 65)」に関する解説セミナーはこちらのページからオンデマンド配信中。説明資料もダウンロード可能。

(石黒誠也)

(米国、日本)

ビジネス短信 2d2191865e0671d6