パナソニックエナジ―、EV用バッテリーの米国生産に向け素材メーカーの英ネクシオンと売買契約を締結

(米国、英国、日本)

ニューヨーク発

2023年07月27日

パナソニックエナジーは7月25日、英国バッテリー素材メーカーのネクシオン(アビンドン市)との間で、電気自動車(EV)用バッテリーの米国内生産に向けてシリコン製負極材の売買契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2025年に稼働予定の米国カンザス州デソトの新工場で生産されるリチウムイオンバッテリーに使用される。

シリコン材は理論値での容量が黒鉛の約10倍と大きいため、負極材に利用すればエネルギー密度の大幅な向上と、バッテリーの小型化、費用対効果の改善が期待できるとされている。シリコン材には、充電時のバッテリー膨張による容量の急激な減少といった課題があるが、ネクシオンが独自技術で開発した膨張を抑制するシリコン材を採用することで高性能化するという。パナソニックエナジーは、今後も負極材におけるシリコン比率を高めていく方針だ。

現在、負極材には主に黒鉛が使用されており、米国地質調査所によると、2022年の天然黒鉛は、約65%が中国で生産された。2022年8月に成立したインフレ削減法の下では2025年以降、中国を含む「懸念される外国の事業体」の関与が認められる重要鉱物(黒鉛を含む)を使用したバッテリーを搭載する車両は、税額控除の対象外となる(2022年11月24日付地域・分析レポート参照)。こうしたことから、中国以外の調達先の開拓に加え、重要鉱物に該当しないシリコン材の利用が注目されており、米国でもシーラ・ナノテクノロジーズ(カリフォルニア州、2022年5月13日記事参照)やグループ14テクノロジーズ(ワシントン州)、アンプリウス・テクノロジーズ(カリフォルニア州、2022年5月20日記事参照)といった新興企業が、エネルギー省の補助金を得てPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)シリコン材の開発、生産を進めている。

(大原典子)

(米国、英国、日本)

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